関西・大阪万博関連のひこにゃんイラスト=2025年日本国際博覧会協会ホームページより

 滋賀県彦根市は人気キャラクター「ひこにゃん」の商標使用を無償化することを決めた。従来、ひこにゃんグッズの販売業者から売り上げの3%を徴収してきたが、独自収入にこだわらずに新商品を拡大、市内外の活性化に役立てることにした。

 ひこにゃんは「国宝・彦根城築城400年祭」(2007年)のキャラクターとして06年に誕生。彦根市が商標登録し、10年から使用許諾料を設けた。当時の市長は「祭りを盛り上げてくれたひこにゃんにもう一働きしてもらいたい」と年2000万~3000万円の収入を見込んだ。一方、派生商品を製造・販売する権利を巡って、原作者・もへろんさんと市が裁判で対立したこともあった。

無償化実験中に発売されたパン=滋賀県彦根市ホームページより

 しかし、21年に就任した和田裕行市長はもへろんさんと連携。それまでイラスト4点、実写1点だけだった商標もそれぞれ27点、12点にまで増やした。一方、使用許諾料の収入は13年度の2630万円をピークに下降線をたどり、新型コロナウイルス禍の20年度は546万円まで落ち込んでいた。状況を打開しようと和田市長は22年10月、実験的に商標を無償化。その後1年半で老舗の八橋せんべい店、大手製パン会社などが相次ぎ参入。2025年大阪・関西万博関連のイラストも作られた。さらに有償だった場合に比べ、新規契約件数で1・4倍、グッズ販売予定額で1・5倍の効果があったと試算された。これを受けて要項を改訂、今年10月から計39点の商標について正式に無償化する。

 2010年に生まれた熊本県のキャラクター「くまモン」は幅広くイラストの無償使用を認め、関連グッズの売り上げは累計1・4兆円を突破している。和田市長は「くまモンなどを参考に、直接的な収入よりもひこにゃんの可能性を広げたい。すでに実現した絵本や切手、ゲームソフトに加え、アニメ化などでも世界に発信していきたい」と話す。商標の問い合わせは0749・30・6153。【伊藤信司】

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