14府県で災害関連死を含め306人が亡くなった2018年の西日本豪雨は6日、最初の大雨特別警報が出てから6年となった。岡山、広島両県の被災地で献花台が設けられ、住民や自治体関係者らが追悼した。「災害の記憶をつなぐ」。復興と防災への誓いを新たにした。

岡山県倉敷市真備町地区で献花し目頭を押さえる地元住民。知人らを亡くした当時を思い出し「胸が痛くなり涙ぐんでしまった」と話した(6日午前)=共同

列島各地で近年、長時間にわたって大雨をもたらす線状降水帯や大型化する台風などによる豪雨が続発しており、水害への備えが急務だ。

甚大な浸水被害が起きた岡山県倉敷市真備町地区では、市役所支所に献花台を設置。伊東香織市長が「安全なまち、良いまちになるように皆で頑張る」と述べ、白菊を供えた。地元の住民団体会長の野田俊明さん(76)は「同級生が災害で亡くなった。(犠牲者の)思いをつなぎ、残された人で完全な復興に向け取り組む」と決意を語った。

広島県呉市では、新原芳明市長が献花。被災した工幸恵さん(74)は献花の前に被災現場に足を運んだ。亡くなった近所の人の顔が浮かび涙があふれたといい「6年は短いような長いような。毎日一生懸命生きてきた」と振り返った。

広島県坂町では午前10時にサイレンが鳴り、小屋浦地区で黙とう。両親を亡くした団体職員の出下徹さん(50)は「両親は当時、小屋浦は安全だからと危機感がなかった。避難情報や周りの状況に目を配るようにしてほしかった」と悔やんだ。

西日本豪雨は堤防の決壊による浸水や、土砂災害が各地で相次いだ。犠牲者は広島県が153人、岡山県が95人、愛媛県は33人に上り、この3県に被害が集中した。

住宅被害も大きく、3県で最大5千戸ほどの仮設住宅が供給されたが、唯一残っていた愛媛県の仮設住宅が今月5日に期限を迎え、全て解消された。道路や堤防などのインフラの復旧もおおむね完了している。

7日は愛媛県で追悼式が開かれる。

〔共同〕

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