著名人になりすました偽広告で投資詐欺に勧誘する「SNS型投資詐欺」が広がっている問題で、起業家の前沢友作氏が米IT(情報技術)大手メタや同社日本法人に損害賠償や掲載差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、東京地裁で開かれた。同社側は争う姿勢を示した。

前沢氏側は訴状で、メタが管理・運営するインスタグラムやフェイスブック(FB)で前沢氏の名前や写真を無断使用した詐欺広告の掲載を許し、肖像権などを侵害したと指摘。同社側に1円の損害賠償と偽広告の掲載差し止めを求めた。

メタ側は請求棄却を求め「(前沢氏側の)主張が明確となってから反論を行う」とする答弁書を提出した。この日の弁論では、偽広告についてメタが責任を負う立場にあるかなどが主な争点となることが確認された。今後は双方が書面で具体的な主張や反論を重ねる。

SNS上で虚偽広告のリンクをクリックした人を個別のチャットなどに誘導し、投資名目で送金を持ちかけるSNS型投資詐欺の被害は急拡大している。

警察庁によると、2023年に全国で2271件の被害が認知され、被害額は約277億円に上った。24年は5月までで既に3049件と前年同期比で約6.3倍に拡大。被害額も約430億円と同約8.8倍に膨らんだ。同庁の集計ではインスタやFBが使われるケースが目立つ。

政府も対策強化に乗り出した。SNS事業者に対し、広告の審査基準の策定や公表を求め、日本語を理解できる担当者の配置などの体制整備を要請している。

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