斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発した元県民局長が死亡した問題で、今月、元県民局長が百条委員会に、プライバシーの配慮を求める文書を弁護士を通して提出していたことがわかりました。

また、兵庫県職員労働組合は10日、知事の辞職を申し入れる方針を固めました。

■元県民局長はプライバシーの配慮を求める文書を百条委に提出

「プライバシーに関わる資料については貴委員会に開示されないか、適宜マスキングするなどの配慮をするよう要請されること」

関西テレビが入手したのは7日に死亡した元西播磨県民局長(60)が今月初めに百条委員会に送付していた書面。

県の人事課が調査の過程で入手した文書などについて、百条委員会に「プライバシーに配慮してほしい」と求めていました。

ことし3月、元県民局長(60)は「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」という告発文を一部の報道機関などに配布。

県は内部調査の結果、告発文は”事実無根”だとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分としましたが、その後、内容に一部事実があることなどが明らかになり、強い調査権を持つ百条委員会が設置されました。

元県民局長は19日の委員会に証人として出頭する予定で、関西テレビの取材に対しても証言に前向きな姿勢を見せていました。

■元県民局長が「プライベートな事柄を公表されることを気にしていた」と関係者

そんな中、7日に姫路市内で死亡しているのが見つかりました。

関係者によると、自殺とみられます。県の関係者は死亡前の様子をこう振り返っています。

【県の関係者】「百条委員会で知事の問題と無関係のプライベートな事柄を公表されることを気にしていた」

8日、元県民局長の死亡が明らかになる直前。百条委員会ではプライバシーの配慮を求める文書を受けて臨時の理事会を開き、議論が交わされていました。

参加した理事からは、「プライバシーは守られるべき。法的アドバイザーの意見を聞くべきだ」といった意見が上がった一方、「都合のよい身勝手な論理だ」という意見もあがったということです。

■兵庫県職員労働組合 知事の辞職を申し入れる方針を固める

また、兵庫県職員労働組合は10日午前、片山副知事を通じて知事の辞職を申し入れる方針を固めたことが分かりました。

労働組合は、「職員が死亡したことは看過できない。内部告発者が守られないのは組織としておかしい。知事の辞職を求めることは県職員の思いだ」とコメントしています。

■「ガバナンス問題を考え直すきっかけにしなければならない」と大学教授

元県民局長が亡くなったニュースを受け、大阪大学大学院 安田洋祐教授は「ガバナンス問題を考え直すきっかけにしなければならない」と話しました。

【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「百条委員会がこれからというタイミングで亡くなられたということで、真相が気になるんですけれども、そもそも内部告発をする際に、安全安心な形で告発できないのでメディアに情報を出した経緯があった。やはり組織の内部告発は役所に限らず難しいとは思うんですが、人が亡くなられたからというわけではありませんが、ガバナンスをどうしていくのかという問題を考え直すきっかけにしなければならないと思います」

元県民局長の死亡が斎藤知事のパワハラ疑惑の真相解明に与える影響はどうなのでしょうか。

【関西テレビ 神崎報道デスク】「中心人物であった告発者の元県民局長が亡くなってしまって、今後、百条委員会でどこまで本当に真相究明ができるのか、疑問が残るとかりです」

次の百条委員会は予定どうり19日に開催される見込みです

(関西テレビ「newsランナー」2024年7月9日)

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