発言遮断問題について、再懇談の場で松崎重光さん(手前から2人目)らに謝罪する伊藤環境相(右端)(10日午前、熊本県水俣市)=共同

水俣病被害者団体と伊藤信太郎環境相との懇談での発言遮断問題を受け設けられた再懇談2日目が10日、熊本県水俣市であり、発言を遮られた松崎重光さん(82)が所属する水俣病患者連合と伊藤氏が面会し、伊藤氏は「深くおわび申し上げる。お声を真摯に聞く態度が欠如していた」と改めて謝罪した。

松崎さんは5月1日の懇談で、症状を訴えながらも患者と認められず昨春亡くなった妻のことを話していた途中でマイクが切られた。この日の再懇談では、症状に苦しみながら亡くなった妻を「本当にかわいそうだった」と振り返り、かつて夫婦で「認定患者と未認定者では行動も見た目も変わらない。どこで判断しているのか」と話していたことを明かした。

患者連合からは未認定者も認定患者と同じように医療・福祉サービスを受けられるよう求める声が上がった。認定患者が入居する水俣市立明水園に未認定者も入れるよう認めてほしいという要望に、伊藤氏は「施設に入れるよう動く」とし、他の施設も含め「皆さんの要望に応えられるか環境省として検討する」と回答した。

水俣病患者連合は5月の懇談に合わせ、医療介護の充実や地域振興を求める要望書を提出していた。患者や被害者は高齢化しており、永野三智事務局長は9日の取材に「みんなには時間がない。大臣は誠意を持ってきちんとした返事をしてほしい」と話していた。

再懇談は8日に始まり、10日と11日の計3日間で、熊本、鹿児島両県の計8団体と実施。環境省は発言時間を1団体3分とした以前の対応から一転し、制限を設けないとしている。〔共同〕

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