海外関連会社の所得にタックスヘイブン(租税回避地)対策税制を適用したのは不当として、日産自動車が国に約50億円の課税処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は18日、双方の意見を聞く上告審弁論を6月13日に開くと決めた。

上告審弁論は結論を変えるのに必要な手続きで、日産側の訴えを認め課税処分を取り消した二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。

関連会社は税負担の軽い英領バミューダ諸島にある保険会社で、再保険などを手掛けていた。東京国税局は2017年3月期の税務申告について「外国子会社合算税制」(タックスヘイブン対策税制)を適用。関連会社の利益を日産本体と合わせて申告すべきだったとし、法人税や過少申告加算税を含め計約50億円の課税処分をした。

対策税制は、税率が低い国や地域にある関連会社の経済活動に実態がない場合などに、日本の親会社の所得と合算して課税し、国際的な租税回避を防ぐ制度。保険会社の場合は、保険料収入の50%超がグループ外との取引であれば適用されない。

22年1月の一審・東京地裁判決は、関連会社がメキシコにあるグループ外企業から得ていた再保険料について、実質的にはグループ外からの収入とはみなせないと判断し、日産側の請求を退けた。これに対して同9月の二審判決はグループ外との取引と認め、50%超の条件を満たしているとして課税処分を違法とした。

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