私は投資の宣伝なんかしません--。ジャーナリストの池上彰さん(73)らになりすました「SNS型投資詐欺」の被害が相次いでいることを受け、愛知県警は、池上さん本人が被害防止を訴える啓発動画を作成した。県警のSNSや商業施設の大型ビジョンなどで放映するほか、他県警でも使用できるようにする。
SNS型投資詐欺は近年急増しており、池上さんや実業家の堀江貴文氏などといった著名人の画像を無断で使用した詐欺広告が社会問題となっている。池上さんになりすました詐欺では、池上さんの名前や写真を悪用し、「無料の投資教室を開く」などの誘い文句でLINE(ライン)のグループに誘導し、投資名目などで現金をだまし取る手口が横行している。
動画は、県警が池上さんに依頼して実現した。52秒間の動画の中で、池上さんは「私は怒っています! 絶対にもうかる投資などないんです」などと強調。SNSだけでやりとりしている相手を信用しないことや、「必ずもうかる」などの言葉には注意するように呼び掛けている。
池上さんは、10日に県警で開かれた動画の完成披露式に出席。「被害者が多く、心を痛めている。被害を防ぎたい一心で県警に協力した」と説明した上で、「私は(投資を)誘うということはしない。本当のもうけ話は人に話さないはず。『いいもうけ話があります』はそれだけで詐欺だと思ってほしい」と強調した。
県内のSNS型投資詐欺の被害認知件数は2023年に156件あり、被害総額は約23億円だった。今年に入り、被害はさらに拡大。5月までですでに289件、約31億円に上っている。【田中理知】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。