岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線のトンネル工事現場付近で井戸などの水位が低下した問題を巡り、JR東海の担当者が県や市との面談で「多大な費用と時間を要するため詳しい原因調査は考えていない」と発言したとされる点について、同社の丹羽俊介社長は17日の定例記者会見で「担当者からは詳細な調査を行うまでもなく工事が原因という前提に立ち、地元の影響を最小限に抑える措置をとるとの報告があった」と述べた。
岐阜県は面談記録を公文書に残している。県によると、面談で同社担当者は「工事を止めたからといって水位低下が収まるわけではない」と発言したとしている。丹羽社長は会見で「原因調査やメカニズムの解明は従前から重要だったと考えていた」と説明。県との認識の違いを問われると「(JR東海側には)詳細なやりとりの記録は残っていない」と述べ、公文書の内容を県に問い合わせて確認する考えを示した。
この問題ではリニアのトンネル工事が行われていた瑞浪市大湫(おおくて)地区で2月、個人用の井戸やため池など計15カ所で水位低下が発覚。同社と県、市の面談は5月14日にあり、同社は工事継続の方針を示していた。しかし、その後、マスコミが水位低下の問題を報じると、県や地元住民から批判の声が相次ぎ、同社は同20日に工事の即時中断を決めた。
丹羽社長は水位低下の報告を初めて受けたのが5月14日だったことを明かし、「もう少し早い段階で報告を受けるべきだったと反省している」と述べた。【真貝恒平】
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