斎藤元彦・兵庫県知事によるパワーハラスメント疑惑などを内部告発した元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題で、県議会調査特別委員会(百条委)は19日、元局長が残した陳述書と疑惑に絡む知事の音声データを調査資料として採用し、公開することを決めた。
県議会事務局によると、陳述書は報道陣などに配るほか、音声は百条委の審議会場で再生する方針だ。
一連の問題を巡っては、元局長が3月、パワハラをはじめとする斎藤知事が絡んだ七つの疑惑をまとめた告発文を一部の県議会議員や報道機関に配った。知事は全ての疑惑を巡る事実関係を否定している。
元局長はこの日の百条委に証人として出頭する予定だったが、7日に県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。12日には、斎藤知事の最側近だった片山安孝副知事が県政が混乱する責任を取って辞職することを表明した。
百条委の奥谷謙一委員長によると、計11ページに及ぶ陳述書は告発文の内容を詳述したものが想定問答の形で書かれ、証人尋問に向けて準備していたとみられる。1分弱の音声データは、知事が出張先で特産ワインを地元の首長らに求めたとする新たな疑惑を示す内容になっているという。
「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージも残され、元局長の遺族が百条委に提出。県議会の各会派から選ばれている15人の委員による採決の結果、陳述書や音声データが賛成多数で採用されることが決まった。
斎藤知事の辞職を求める声が相次ぐ中、知事は16日の定例記者会見で「より良い県政を目指すのが私の責任だ」と述べ、改めて続投する方針を明らかにした。【中尾卓英、山田麻未】
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