文化審議会は19日、重要無形文化財の保持者(人間国宝)に、浪曲語りの京山幸枝若さん(70)=大阪府吹田市=や、輪島塗にも使われる装飾技法「沈金」の西勝廣さん(69)=石川県輪島市=ら6人を認定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。浪曲師を人間国宝に認定するのは初めて。

京山幸枝若さん(2023年8月、大阪市)

他の4人は、常磐津節浄瑠璃の常磐津一佐太夫さん(81)=京都市、陶芸技法の一つ青磁の神農巌さん(67)=大津市、竹工芸の岐部笙芳さん(72)=大分県九重町、織物製作技法の一つ八重山上布の新垣幸子さん(78)=沖縄県石垣市。八重山上布も人間国宝認定は初めて。答申通り決まる見通しで、人間国宝は108人となる。

浪曲は浪花節とも呼ばれ、三味線とともに物語を歌う「節」と、せりふを語る「啖呵(たんか)」で演じる寄席芸能。幸枝若さんは緩急自在に語る芸が高い評価を受けた。西さんは繊細な描写の作品が特徴で、輪島塗技術保存会会員としても活動する。

常磐津さんは三味線音楽の一派の語り手。艶やかな伸びのある声で登場人物を的確に演じ分ける。常磐津節浄瑠璃と青磁は、この分野の人間国宝が死去して不在となっていた。沈金と竹工芸は現役の人間国宝がおり、追加認定となる。

答申は他に、指定済みの重要無形文化財の保持者団体構成員として、荻江節保存会(東京・港)の1人の追加認定も求めた。荻江節は三味線音楽の一つ。

また、文化財の保存修理に欠かせない技術の継承を国が支援する選定保存技術の保持者・保存団体に、「屋根瓦製作(琉球瓦)」の八幡昇さん(74)=沖縄県与那原町=ら6人と3団体を認定するよう答申した。

〔共同〕

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