小学生3人が死亡した水難事故の現場付近。河川の危険を警告する看板が設置されている(21日午後、福岡県宮若市)=共同

全国で夏休みの時期を迎える。福岡県宮若市の犬鳴川で、小学6年の女児3人が流され死亡してから21日で1年。専門家は「子どもだけでは絶対に水辺に近づかないということを、日頃から話しておくことが大切だ」と指摘する。

「水難事故発生箇所」「ここには、入ってはいけません」。宮若市の事故があった川辺に下りる階段には柵が設けられ、花や3本一組のジュースが供えられた門扉には、立ち入り禁止の看板が掲げられている。

8日、事故の再発を防ごうと、市や河川事務所が立ち上げた水難事故防止対策協議会が現場を視察した。参加した地元自治会長の安部勝洋さんは事故当日、サイレンを聞いて駆け付け、女児の1人を消防隊員が抱きかかえ、岸に上がってくるのを目撃した。

搬送される娘に「目を覚まして」と叫ぶ母親の声が忘れられない。「何ともいたたまれなかった。自治会の子どもたちだったので、本当に悔やんでも悔やみきれない」と語った。

県警や女児らの通っていた小学校によると、夏休みの初日に子ども8人で現場を訪れ、当初は浅い場所で遊んでいたが、4人が支流と合流する付近の深みにはまり、うち3人が流された。いずれも普段着姿だった。

子どもが亡くなる水の事故は繰り返されている。警察庁によると2019〜23年の7、8月に死亡・行方不明となった中学生以下の子どもは毎年9〜16人に上る。今月19日には、相模原市の川で遊んでいた中学2年の男子(14)が死亡し、21日にも広島県坂町の海水浴場で女子中学生が溺れて亡くなった。

水難学会理事の斎藤秀俊・長岡技術科学大大学院教授によると、夏休みは平日に子どもだけで遊ぶ際の水難が起きやすい。「子どもだけで水辺には近づかないと、保護者が伝えることが大切。家庭での語りかけが、事故防止に最も効果的だ」と話した。〔共同〕

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