自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入)の罪に問われた二階派(志帥会)の元会計責任者、永井等被告(70)の論告求刑公判が22日、東京地裁(向井香津子裁判長)であり、検察側は禁錮2年を求刑した。

永井被告は6月の初公判で起訴内容を認めていた。

検察側は冒頭陳述で、二階派では当選回数や閣僚経験の有無などに応じて議員ごとにパーティー券の販売ノルマを設定し、ノルマ超過分を議員側に還流していたと指摘していた。派閥に納めず議員側でプールするケースもあったとした。

虚偽記入の理由としては、永井被告が翌年以降のパーティー券の買い控えを懸念し、売り上げを実際よりも少なく見せかけようとしたと主張。同派の会長や事務総長ら幹部議員には収入と支出の総額だけ口頭で報告していたとした。

被告人質問で永井被告は起訴内容の対象となった2018年以前から虚偽記入を続けてきたと説明。理由について「何が起こるか分からない世界でお金を残す必要があると思った」と述べた。

幹部議員の関与については「相談もしていない」と否定し「私自身深く考えて収支報告書を作っていなかった。不徳のいたすところだ」と述べた。

起訴状によると、永井被告は18〜22年の政治資金収支報告書で、パーティー収入や支出など計約3億8000万円を計上しなかったとされる。

二階派では会長を務めた二階俊博元幹事長の資金管理団体も還流分を収支報告書に記載していなかった。会計担当の秘書が略式起訴され、罰金100万円、公民権停止3年とした略式命令が確定している。

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