宮城県大郷町が実現を目指すサッカー関連事業と農業振興と連動させるスマートスポーツパーク(SSP)構想を巡り、26日、6月に否決された関連予算案を審議する臨時議会が開かれました。議会は予算案を再び認めず、田中町長は住民投票を実施する意向を明らかにしました。

大郷町は全国でスポーツ事業を展開する京都市のスポーツXと協定を結び、町内の19ヘクタールの土地にサッカーグラウンド12面と1200人以上が利用できる宿泊施設2棟などを整備し、選手育成のほか、合宿や大会開催といった事業を展開する構想を進めています。
隣接する土地には農地も整備し、「アスリート兼農家」を育てるほか、スマート農業に取り組む法人などを誘致する方針で、町は交流人口の拡大や経済効果に期待を寄せていました。
また、土地の整備には、町内を流れる吉田川で国が実施している掘削工事で出た土を無償で活用する約束も取り付けていて、費用面でも数十億円単位で抑えられる見通しが立っていました。

しかし、この事業に待ったをかけたのが町議会でした。
6月7日の定例会で議会側は、財政面での説明不足やスポーツXの財政状況・事業費の一部が示されていないことなどを理由に、構想を進めるための関連予算を認めませんでした。
閉会2週間後の6月21日には建設予定地周辺の行政区長6人が構想を進めるよう求める要望書を町議会に提出しましたが、石川良彦議長は「議会には問題のない事業かどうかチェックする責任がある」とし「要望書は全議員に配布し皆さんの思いを伝えたい」と述べるに留めました。

町は6月24日に開かれた町議会調査特別委員会で、町の負担は3億円程度になることや、取得する用地は年間570万円でスポーツXに貸し出し、20年かけて回収することなどを追加で説明。7月に臨時議会を開催し再び予算案を提出したい意向を伝えました。

7月9日には2回目となる住民説明会も開催し、迎えた26日の臨時議会。
田中町長は「大郷町は若い世代に知られていない」として「知名度を上げ、未来の大郷をつくるためにはスマートスポーツパーク構想が必要だ」と改めて訴えました。
議員からは「環境破壊につながっていくのではないか」「構想以外の案も示すべきだ」など、さまざまな意見が出され、採決は賛成5、反対6の反対多数で予算案は認められませんでした。

閉会後、取材に応じた田中町長は議会の決定は尊重するとした上で、「今後は直接民主主義でやる。そうでないと町民に申し訳ない」と述べ、住民投票の手続きを進める考えを示しました。

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