今年の別府大分毎日マラソンで優勝した佐賀県小城市在住のマラソンランナー、ワークナー・デレセさん(29)が、故郷に昨年建てた学校を増築するため、クランドファンディング(CF)「CAMPFIRE」で300万円を目標に資金を募っている。【斎藤毅】
物価の急騰で資金繰り厳しく
デレセさんはエチオピア出身。2014年に来日し、拓殖大学陸上部員として16~19年に箱根駅伝の2区を走り、4年の時には留学生として初のキャプテンも務めた。現在はひらまつ病院(小城市)の陸上部に所属し、2月の別大マラソンで初優勝した。
「エチオピアは子供が多く、公立学校は半日制で午前か午後しか授業を受けられない。日本のようなしっかりした教育を受けさせたい」との思いから、23年7月に母国の北部にある故郷・ゴンダール近くに「デレセ・タソ・スクール」を建てた。
校舎2棟に6教室と食堂、職員室があり、建設費はデレセさんが大会賞金や日本での給料などから捻出。先生、スタッフの給料やスクールバスのレンタル費などの運営費もデレセさんが賄っている。
現在は保育園1~3年(4~6歳)の約300人が通うが、最終的には義務教育である初等教育1~8年生(7~14歳)も受け入れる計画で、10月の新年度からは保育園児を約350人に増やし、初等教育1、2年生約250人も入学する。
在校生が約600人に倍増するため校舎2棟の建設準備を進めているが、急速な経済発展を続けるエチオピアではこの数年で物価が2~3倍に急騰し、資金繰りが厳しくなっているという。
青年海外協力隊としてエチオピアへの派遣経験がある県地域おこし協力隊の古泉志保さんが苦境を知り、活動拠点のNPO法人「地球市民の会」が支援して300万円を目標にCFによる資金集めを実施している。期間は8月31日まで。
集まった資金で9月下旬に新校舎増築に着工し、10月下旬の完成を見込んでいる。返礼品には、エチオピア産コーヒー豆や「デレセ・タソ・スクール」のTシャツ、デレセさんと一緒に走る権利などが用意されている。
デレセさんは「1人の力では限界があるが、みなさんの支援があればより多くの子供たちが質の高い教育を受けられる環境を整えられる。未来を担う子供たちのために力を貸してほしい」と呼びかけている。
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