東京女子医科大学(東京都新宿区)の同窓会組織「至誠会」が推薦入試や職員採用で寄付金を受け取るなどした問題で、同大の第三者委員会(委員長=山上秀明・元最高検次長検事)は1日までに、寄付金の受領について「公平性を欠く」とする報告書をまとめた。関係者への取材で判明した。第三者委は同大のガバナンス(組織統治)が機能不全に陥っていたとして、岩本絹子理事長の責任は免れないと非難している。
同大は2日に報告書を公表する予定。第三者委も同日、記者会見を開いて内容を説明する。
関係者によると、同大では推薦入試を巡って保護者らから寄付金を受領していたほか、卒業生が同大での採用・昇任を希望する際にも至誠会への寄付額を考慮する仕組みがあった。報告書はこれらについて不公平な仕組みだと認めた。
また、至誠会が運営する病院の元職員が、勤務実態がないのに給与を受け取っていたとされる問題についても「過大」と認定。大学関連の工事を受注した業者から、元職員が不当に金銭を受領していた疑いもあるとした。
第三者委はこうした問題が生じた背景には至誠会代表理事も務めた岩本氏の「1強体制」があり、経営責任は免れないと指摘。大学・病院としての管理運営体制が機能不全に陥っていたとし、丸義朗学長や他の理事らにも責任があるとした。
同大は7月31日、ホームページで報告書を受け取ったことを発表し「皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」と謝罪した。
元職員の給与支出を巡っては、警視庁が3月、岩本氏の自宅と大学本部を一般社団法人法違反(特別背任)容疑で家宅捜索。大学は4月に第三者委を設置し、関係者に聞き取り調査をしていた。【井川加菜美、森田采花】
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