東京女子医科大学(東京・新宿)の同窓会組織を巡り不透明な資金支出が指摘されている問題で、同大の第三者委員会(委員長=山上秀明元最高検次長検事)は2日、支出の適正さや大学のガバナンスを検証した報告書を公表した。同大は岩本絹子理事長に権限が集中する「1強体制」で、「ガバナンス機能が封殺された」と強調した。

東京女子医大は3月に警視庁による強制捜査を受けたうえ、教授有志が文部科学省に対して理事会への指導を求めるなど異例の事態となっている。第三者委がガバナンス不全を指摘する報告書をまとめたことを受け、大学側の対応が焦点になる。

報告書は同窓会組織「至誠会」から大学に出向していた元職員に支払われた給与について「過大あるいは二重払いの疑義が濃厚」と指摘した。学校法人が外部と結んだコンサルティング契約は、支払いの一部が理事長側に還流した可能性が高いとも言及した。

一連の問題の背景として、2019年に就任した岩本理事長への権限集中を挙げた。異論を唱える職員は組織から排除したと問題視した。岩本理事長については「金銭に対する強い執着心と学校法人に対する忠実性の欠如を見て取れる」と指摘した。

第三者委は2日午後4時から大学で記者会見し、報告書について説明する。

東京女子医大を巡っては、警視庁捜査2課が3月、至誠会から勤務実態のない元職員に給与が支払われた疑いがあるとして、一般社団法人法違反(特別背任)の疑いで大学本部などを家宅捜索した。

捜査を受け大学は4月に第三者委を設け、7月末をめどに報告書をまとめる方針を示した。同大は7月31日にホームページで第三者委の報告書を受領したと公表し「管理運営体制の再構築を含む改善計画を策定し、健全な法人運営に努める」とコメントした。

東京女子医大は吉岡弥生氏が1900年に創設した「東京女医学校」が前身。ホームページでは「女性のみに医学教育を行う国内で唯一の教育機関」とうたっている。

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