米国のエマニュエル駐日大使は、長崎市が9日の「原爆の日」に開く平和祈念式典を欠席する。米大使館が7日、明らかにした。パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルを招待しなかったことを受けた対応。
日本を除く主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)の駐日大使や代表が連名で、イスラエルを招待しないことに懸念を表明する書簡を長崎市に送っていたことも判明した。書簡は7月19日付。
ロングボトム駐日英大使も6日に問題視する立場を記者団に示しており、東京の仏独カナダ各大使館も7日、共同通信の取材に「遺憾」「残念」とそれぞれ表明した。長崎市によると、G7の6カ国とEUの大使はいずれも式典出席の予定はない。鈴木史朗市長は8日午前10時から市役所で取材に応じる。
米大使館によると、エマニュエル氏は長崎市がパレスチナを招待する一方、イスラエルを招待しないと決めたことにより「式典が政治化された。参加を見合わせる」と説明している。
鈴木市長は抗議活動など「不測の事態」が起きるリスクがあるとの立場で、7月31日、イスラエルを招待しないと発表した。
書簡は発表前のもので、各大使らは「(ウクライナ侵略を理由に招待していない)ロシアやベラルーシとイスラエルを同列に置くことになる」と指摘し「このような事態は不幸であり、誤解を招く」と強調した。
「長崎の式典の普遍的なメッセージを守るため、イスラエルを招待するよう呼びかける」とも訴え、招待がなければ高官の出席は難しくなると警告した。
米政府は7日、在福岡米領事館のアシーケ首席領事が米政府代表として出席すると発表した。エマニュエル氏は追悼のため9日に東京・芝公園の増上寺で催される式典に参加する。長崎市によると、英仏独伊カナダは公使や参事官、総領事らが出席する見通しという。
エマニュエル氏は6日の広島市の平和記念式典には参列した。同市はイスラエルを招待する一方、パレスチナは招かなかった。(共同)
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