政府は南海トラフ巨大地震が起きる恐れがある異常現象が観測された場合、自治体や住民に警戒を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」を発表する。最短で2時間後に出される見込みで、国は臨時情報を出す異常現象として主に3つを想定している。災害が起きていない地域でも1週間ほどの事前避難が必要になる可能性がある。

南海トラフ震源域では東海地方などを襲う東海地震、紀伊半島などが被災する東南海地震、四国などで起こる南海地震――の3つの大地震が同時もしくは連動して起こる可能性がある。

国は異常現象が確認された5〜30分後に「臨時情報(調査中)」を発表し、有識者が今後のリスクの評価を開始したことを周知する。その上で、地震の可能性が高まったことを示す「臨時情報」を追加で発表する。

最も警戒が必要なのは一部の住民に事前避難を求める臨時情報「巨大地震警戒」だ。南海トラフの震源域の東西のどちらかでマグニチュード(M)8以上の大規模地震が発生した場合で、「半割れ」と呼ばれる現象だ。残る片側のエリアでも大規模地震が起きる可能性が高まっている。

歴史上、日本列島では南海トラフの震源域の片側で大地震が起きた場合、まだ起きていない片側の地域でも1週間以内に大地震が発生した記録があり、注意が必要だ。

巨大地震警戒が発表された場合、自治体は後発地震の発生時に津波への避難が間に合わない地域の住民に、知人・親戚宅や避難所に移るよう避難勧告などを発令する。避難期間は1週間となる。後発地震が起こらない場合も、その後の1週間ほどは自主避難の実施など平常時より高い警戒態勢を続けることが欠かせない。

もう一つの臨時情報は「巨大地震注意」で、次の2つの異常現象が確認された場合に発表される。まず「一部割れ」と呼ばれる地震で、南海トラフの震源域でM7以上8未満の比較的大きな揺れが確認されたケースだ。このほか、揺れを感じない程度に地殻が変動する「ゆっくりすべり」と呼ばれる現象が観測された時も対象になる。

巨大地震注意は、半割れのケースに比べて警戒度は低い。ただ、南海トラフ巨大地震が起きる可能性は高まっていると考えられ、一部割れの場合は高齢者などの自主避難も検討する必要もある。

地域の住民は家具の固定や非常用持ち出し袋、避難場所や避難方法の確認などを進め、企業も地震時の事業継続に必要な措置を取るなど日ごろの防災対応を再確認することが求められる。

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