学校の4月と言えば、入学式とクラス替え。子どもたちは新しい環境で懸命に学校生活を送っています。ただ同時に、いじめを生み出す恐れのある重要な時期でもあります。被害者にも加害者にもならないために必要なことを探ります。
「なぜ、助けてもくれない人が自殺を止めようとする?権利なんてねぇんだよ」(自殺した中学1年の女子生徒)
3年前、札幌の自宅で自殺した当時、中学1年生の女子生徒の心の叫び...。
同学年の生徒からいじめを受ける中で死ぬことを考え、学校の屋上に上がったものの、担任の教師らは「いたずら」としかとらえず、ずさんな対応で女子生徒のSOSを見過ごす結果となりました。
学校の新学期が始まってはや10日。恒例行事の入学式とクラス替えを終え、新生活が始まっていますが、心配なのが、新しい環境が原因となるケースが多い「いじめ」です。
学校現場に詳しい札幌国際大学の安井政樹 准教授は、子どもが被害者、加害者にならないためには、4月の過ごし方が大事だと指摘しています。
「4月になると”初めまして”の人が多くなる。(自分の言動が)どのくらいまで(友だちに)許されるのか、お互いに分からない中で暮らしていく。3月と4月のギャップは、子どもたちが思っている以上に大きい」(札幌国際大学 安井 政樹 准教授)
大切なこの時期。不安を抱えているのは子どもだけではありません。
「お友達の話を、まだあまり聞いてなくて、新しい環境がどうかなという心配はある」(小1男児の保護者)
そこで安井准教授から保護者へのアドバイスは「子どもたちが全て話したくなる声かけ」です。
「(学校には楽しいこと、嫌なこと)両方あって当たり前と伝えてほしい。嫌なことも、良いことも、うれしいことも全部言ってくれることが、親にとっては幸せなんだ、とぜひ伝えてほしい」(安井准教授)
ここで重要なのが子どもの気持ちを一番大事にすることです。
「(話を聞いた後に)”先生に言うからね”みたいな話になってしまうと、子どもは逆に言えなくなってしまう。その子が何を求めているのか、解決してほしいのか、まず聞いてほしいのかを大事にしてほしい」(安井淳教授)
さらに保護者が抱える不安は、「相談相手」です。
「(ニュースで)”学校はいじめを認めていません”というコメントをよく見る。本当に学校の先生だけを信じていいのか(と思う)」(保護者)
学校との接点は「担任」ですが、安井准教授は「学校は敵ではない」と捉えてほしいと話します。
「自分の本音、自分の感じている思いを伝えられる人を増やすことを大事にしてほしい。保健室の先生、校長先生、教頭先生でもいい、前の担任の先生でもいい。一緒に解決しましょう、一緒に話し合いましょうというスタンスを大事にしてもらいたい」(安井准教授)
大人も子どもも、悩みを抱え込まないことが大切です。互いのボタンの掛け違いを防ぐためにも、早い対応が必要です。一方、こんな不安も…。
「この子も、もしかしたら加害者になるかもしれない。親が常に見ていられるわけじゃないから」(小3男児の保護者)
加害者にならないために…安井准教授は「相手の価値観を尊重する」ことがポイントだと指摘します。
「昔は”自分がされて嫌なことを相手にしない”と言っていた。(これだと)俺はやられて平気だからお前も平気だろ(となる)。相手が嫌かどうかは相手が決めること。人それぞれ感じ方があるということ(を伝える)」(安井准教授)
思い違いを防ぎ、子どもや保護者が笑顔で過ごせるために…本音で話し合える関係づくりが大切と言えそうです。
悩んでいる場合、学校以外にも相談できる場所があります。
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(通話無料)
または「札幌市 いじめ 相談窓口」で検索を。
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