今回の地震発生のメカニズム、そして南海トラフ地震の臨時情報について、京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕介助教に話を聞いた。

Q.今回の地震はどんなメカニズムで発生した地震?

(山下助教)
地震のメカニズム的には「プレート境界地震」。九州、特に宮崎は陸の方にユーラシアプレートという陸のプレートがあって、海のプレートが沈み込んでいく。このプレートとプレートの境目で、今回地震が起こった。メカニズムとしては、南海トラフ地震や東日本大震災と同じ。

Qここがずれることによって揺れが発生する。ずれの規模感はどのくらい?

(山下助教)
範囲にすると20~30キロぐらいの範囲がずれ動いたというふうに考えていただければいい。

Q日向灘ではこれまでも繰り返し地震が起こっているが一定の周期はあるのか?

(山下助教)
宮崎市の沖合だけに限定すると、この100年間で1931年にM7.1、1961年に7.0。1996年は10月と12月の2回でM6.9とM6.7。これは2つを足すと、だいたいM7.0ぐらい。そして今回2024年のM7.1。
並べて見てみると、30年、35年、今回28年。大体30年間隔ぐらいで繰り返してきているものが、今回発生したというふうに今考えている。

Q1996年は10月と12月に起きている。こういう例もあり同規模の地震に注意が必要と言われてるのか?

(山下助教)
今回のこの地震の規模が本当にどれくらいのかというのはもう少し精査が必要だが、仮に1996年のように2回に分かれている、南海トラフで言うと、いわゆる「半割れ」という状況が1996年にはあった。1931年と1961年は一気に1回で地震が終わったが、今回が1回で終わっていなければ、もし「割れ残り」があれば、今後また同程度の地震が起こる可能性はある。

Q今回の地震では、南海トラフ地震臨時情報が2019年の運用開始以来、初めて発表された。臨時情報とはどういったもの?

(山下助教)
南海トラフ地震臨時情報は、マグニチュード6.8以上の地震が発生する、もしくは通常と異なる「ゆっくりすべり」などの現象が発生した場合に発表される情報。今回の場合はM6.8以上の地震に該当するので初めて発表された。
「臨時情報調査中」が最初に発表されて、そのあと「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」3つのパターンに分かれる。今回はこの「巨大地震注意」になったという事。

Q今回の震源は南海トラフ地震の想定震源域の本当にギリギリの場所?

(山下助教)
この範囲の中のどこかでマグニチュード6.8以上の地震が起こった場合には、臨時情報が発表される。本当ギリギリ端っこではあるが今回該当したということになる。

Q今回は「巨大地震注意」。「警戒」と「注意」はどういったところでわかれるのか?

(山下助教)
大きく分けると「巨大地震警戒」の場合はマグニチュード8以上が想定される場合。「巨大地震注意」の場合はM7以上8未満。という大雑把な区別になる。
「巨大地震警戒」の場合は、もう南海トラフ地震が半分起こってしまっている状態。「半割れ」と言いうが、東側もしくは西側で南海トラフ地震が起こった場合に、その後引き続いて起こる後発地震に気をつけましょう、というのが「巨大地震警戒」

この場合は半分で地震が起こって、さらにその半分で地震が極めて起こりやすくなっている。過去の事例で「32時間後」や「2年後」などの幅はあるが、とにかく次が起こるよ、皆さん特に警戒してください、という情報が「巨大地震警戒」

今回のケースは「一部割れ」という状況になっていて、この場合はそこまで、その後引き続いて巨大地震が起こるケースは「稀」。世界中の地震の統計をとった結果、頻度で言うと数百回に1回。基本的にはほぼ何も起こらない。でも万が一起こったらすごいことになってしまうので、念のため気をつけてください、という情報。

Q平常時よりは相対的に高まっているということですよね。

(山下助教)
地震学的には「巨大地震注意」は2倍3倍だが、「巨大地震警戒」の場合は100倍、1000倍になる。今回はそこまで確率は上がっていない。巨大地震が起きる可能性は確率で言うと低い。極めて低い。

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