小樽市にある「おたる水族館」で、カラスが人に話しかけるという噂が広がっています。そこで、その謎のカラスの正体を確かめるため、現地を訪れました。
動画と同じ鳴き方のカラスを探す
まず、動画の撮影場所とされる屋外のエリアを中心にカラスを探しました。海に近い展示エリアに到着すると、カラスの鳴き声が聞こえてきましたが、その鳴き声は通常の「カアカア」というもので、動画のカラスとは異なるものでした。
しかしどこを見渡しても取材時にいたのはこのカラス1羽だけ。はたして人に話しかけるカラスはいるのでしょうか。
調べを進め、動画と照らし合わせて撮影場所を特定。そこはトドの水槽の前でした。撮影した日はカラスの姿が確認できませんでしたが、別のカラスが現れるのを待つことにしました。
驚きの瞬間 カラスとの「会話」
諦めかけたその時、一羽のカラスがエサを与えている客のそばに止まり、人間に接近。驚きながらも近づいてみると、なんとカラスが奇妙な鳴き声を上げ始め、まるで会話しているかのような状況に。
動画と比較すると、どちらも低いトーンで語りかけるように鳴いていることが判明しました。
なぜ変な鳴き方をするの?
しかしなぜこのカラスは変な鳴き声をしているのでしょうか。長年カラスを研究している宇都宮大学の杉田昭栄名誉教授に伺いました。
「(Q餌をねだっているのか?)餌をねだることはあまりしない。野生の性質が強い生き物だから」
「唸るというか少し喉の奥のほうから出すような低音の声が何度か入り込んでいますよね。その時に首も上下したりする仕草がみられる。いわゆるトドとかそういうような生き物のマネをしようとしている」
杉田名誉教授によると、このカラスは今回の鳴き声はトドなどの生き物のマネをしている可能性が高いといいます。
実際にトドの鳴き声とカラスの鳴き声を比較すると、カラスがトドのマネをしているように聞こえます。カラスは知能が高く、他の動物や人間の言葉をマネすることもあるといいます。
カラスの驚くべき能力 まさかトドの「ハル君」のマネ?
「声でコミュニケーションをとるという習性が元々ある。やっぱり知能も高いせいか頭の中でマネをするというイメージを作り上げることができて、ある意味知能が高いがゆえに出てくる行為と思える」(杉田名誉教授)
他にも遊びの一環として犬の鳴き声をまねたり、「おはよう」など人間の言葉のまねたりするカラスもいるといいます。
想像を超えるカラスの賢さ。さらに、杉田名誉教授は驚くべき可能性を口にします。
「止まっているところに「ハル君」というトドの名前がついていますけど、停滞してマネごとをしている時間が長いのでまさか「ハル君」のマネではないかなと・・ひいき目ですけどね」
「頭がいいのでカラスは人の顔を覚えることができる。『食べる』『子孫を残す』以外で喜びを満たしているのは人間とカラスだけ。もしハル君のマネならすごいなと思う」(ともに杉田名誉教授)
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