トイレットペーパーの製造技術の特許侵害を巡る訴訟の判決が言い渡された東京地裁中目黒庁舎=東京都目黒区で2022年10月6日、猪飼健史撮影

 長巻きトイレットペーパーの品質を高める技術をまねされたとして、日本製紙子会社の日本製紙クレシア(東京都)が、「エリエール」を主力製品とする大王製紙(愛媛県)の特許権侵害を訴えた訴訟の判決で、東京地裁は21日、日本製紙クレシア側の請求を棄却した。

 訴状によると、日本製紙クレシア側が自社の特許が使われているとしたのは、大王製紙が2022年4月に販売を始めた、長巻きトイレットペーパーの「エリエール i:na(イーナ) トイレットティシュー3・2倍巻」。

日本製紙クレシアが特許権を侵害されたと訴えている大王製紙の「エリエール i:na(イーナ) トイレットティシュー3.2倍巻」(8ロール)=大王製紙提供

 長巻きのトイレットペーパーは高密度に紙を巻いてコンパクト化するため、消費者は商品購入や取り換えの回数を削減できるメリットがある。ただ、製造時にきつく巻くとトイレットペーパーが硬くなり、柔らかさが失われてしまうため、特別な技術が必要とされる。

 日本製紙クレシアは17~20年、紙の表面に独自の凹凸を付け、長巻きにしても使用感を低下させない技術を開発したとして特許を取得した。

 日本製紙クレシア側は訴訟で、この特許が大王製紙のトイレットペーパーで無断使用されたとして、3300万円の賠償の支払いと、大王製紙の一部製品の製造差し止めを求めていた。

 一方、大王製紙側は特許を侵害しておらず、そもそも日本製紙クレシアの技術は簡単に発明できるため、特許は無効だとして請求の棄却を訴えていた。【巽賢司】

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