人気トイレットペーパー「スコッティ」と「エリエール」を巡る注目の裁判に21日、判決が出ました。

今回の裁判は、従来のトイレットペーパーと比べ長さが3倍だという人気商品「スコッティ」の特許権を侵害されたとして、日本製紙クレシアが大王製紙に3300万円の賠償の支払いと製品の差し止めなどを求めたものです。

大王製紙からは長さが3.2倍だというトイレットペーパー「エリエール」が販売されています。

2つのトイレットペーパーを巡る裁判。
東京地裁は21日、特許侵害を認めず、請求を棄却しました。

街の人は「長持ち！どれくらい？3倍か！くらいな感じ。買いに行く頻度も減るかな」「長持ちして交換が少なくなるから、そのために買ったりします。ありがたいですよね、物価も高くなってるし」と話しました。

高密度に巻くことでコンパクト化に成功した、いわゆる「長巻きトイレットペーパー」。
消費者にとってのメリットだけでなく、小売店での省スペース化や配送時の二酸化炭素排出を減らすことにもつながるとして、SDGsの面からも注目されています。

トイレットペーパーを高密度で巻いても柔らかさが失われない技術。
それらの特許を侵害しているとして、日本製紙クレシアは訴えを起こしていました。

特許侵害が却下された理由について、ファーイースト国際特許事務所・平野泰弘弁理士は「特許権ごとに、例えば細かく、長さとか直径とかエンボス（凹凸）の厚みとか、ミクロン単位で設定されてますけど、色んな項目があるんですね。それが、どれかが1つでも外れると、原則として特許権侵害にならない」と話します。

さらに3300万円という賠償金から、今回の裁判の意図が読み取れるといいます。

ファーイースト国際特許事務所・平野泰弘弁理士は「もらえる請求できる額は少ないんですけど、早めにやめさせるという観点からみると、今回は警告的な意味が強かったかなというふうに私は思います」と話しています。

実は2つの会社は、過去に保湿ティッシュの特許侵害を巡っても裁判で争っています。

日本製紙クレシアによると、その時は大王製紙が日本製紙クレシアを提訴。
保湿ティッシュの特許を侵害されたとして製造や販売の停止を求めましたが、2016年に日本製紙クレシア側が勝訴しています。

今回の判決を受け、大王製紙は「一層、自社の知的財産の保護を図ると共に、他社の知的財産を尊重していく所存です」とコメントしています。

一方、日本製紙クレシアは「到底承服できない」とコメント。

高裁への控訴を予定しているとしています。

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