熱中症特別警戒アラートと警戒アラートの違い

 環境省は、過去に例のない危険な暑さが予想される際に発表する「熱中症特別警戒アラート」を24日から運用する。地球温暖化の影響で極端な高温になるリスクが高まっていることから、熱中症を防ぐ行動を促す狙いがある。気象庁と環境省が発表する現行の「警戒アラート」も24日、今年度分の運用を始める。

 特別警戒アラートは改正気候変動適応法(2023年4月成立)で新設され、気温や湿度、日差しの強さなどを基に算出する「暑さ指数」に基づいて発表される。午前10時時点で翌日の暑さ指数が「都道府県内全域で35以上」と予測される場合、環境省が午後2時ごろに翌日分の特別警戒アラートを発表する。

 環境省は発表と同時に緊急記者会見を行い、熱中症予防に加え、外出やイベントの中止・延期、リモートワークへの変更などを検討するよう呼びかける。市区町村は冷房を備えた公共施設などを事前に「指定暑熱避難施設」(クーリングシェルター)に指定し、発表時に開放する。今年度の運用期間は10月23日まで。

 環境省によると、これまで都道府県全域で35以上になったケースはないが、埼玉県で20年8月、全域で34となった日があったという。

 気象庁によると、日本の平均気温は100年あたりで1・35度のペースで上昇している。昨年は1898年の統計開始以来最も暑い夏となり、警戒アラート(予報区内の1カ所でも暑さ指数が33以上と予測される場合に発表)が延べ1232回発表された。

 厚生労働省の人口動態統計によると、22年の熱中症による死亡者数は1477人に上り、水害など自然災害を原因とする死亡者数より多かった。環境省の担当者は「熱中症は死に至る恐れがある一方、予防法を実践することで防ぐことができる」と対策の重要性を指摘する。【山口智】

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