地方の若者が引き寄せられるのに、出生率が低いことから「ブラックホール」とも例えられる東京。2023年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が初めて「1」を下回り全国最下位の0・99となったが、民間調査によると、都内の若者は意外にも結婚して子供をもうけることを望んでいることが明らかになった。ただし、現実と理想のギャップは大きいようだ。
東京商工会議所が4~5月、都内の事業所に勤務する18~34歳の男女2198人にインターネットで調査した。
結婚への意識を尋ねると、「一生結婚するつもりはない」と回答した人は9・7%にとどまり、「いずれ結婚するつもり」とした人は50・3%だった。既婚者(35・8%)を含めると8割超が結婚に前向きな姿勢を見せている。
結婚の障壁になっていることについて複数回答で聞くと、「良い出会いがない」が42・7%で最も多く、「経済的な不安(収入、雇用、住宅費、奨学金返済、教育費など)」が36・7%で続く。
この2点以外で、男女別に目立った回答をみると、男性では「転勤や単身赴任の可能性」(20%)や「職場に異性が少ない」(19・4%)、女性では「家事や育児の負担増」(29・5%)や「キャリアに支障がでる不安」(17・4%)が挙がっている。
理想的な子供の人数はどうか。「2人」(56・7%)、「3人以上」(19・7%)と複数人を希望する人は計7割以上に上った。
しかし、「現実的に持てると思う子供の人数」を質問すると回答は一転。「2人」は39・5%、「3人以上」は4・7%と大きく減る。
理想の人数で14・5%だった「0人」は、現実的な人数では20・4%に上昇。「1人」は9・1%から35・3%に大きく増加した。子供を持てたとしても、「せいぜい1人」と考える若者の姿が浮かび上がった。
子供を持てない、または人数を抑えようと考える人にとって、どんなことが障壁になっているのか。
「家事や育児の負担増」(39・2%)、「自分の仕事へのパートナーの理解と家事育児の協力姿勢」(33・7%)」――などが挙がったが、圧倒的だったのは、結婚の障壁としても回答の多かった「経済的な不安」(74・1%)だった。
調査をした東商は「出会いの創出による未婚化対策に加え、結婚・出産・子育てに向けた経済的な不安の解消も重要」と指摘。経済的理由などで共働きをしている子育て世帯も多いことから、企業に対し「共働きを前提とした労働環境の整備」を求めている。【嶋田夕子】
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