能登半島地震後に石川県の避難所で、日常生活の一部で介護が必要になるなど体の機能が低下した人が複数報告されていることが22日、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)への取材で分かった。避難生活が長期化する中、日中も横になってふさぎ込んでいる高齢者がいることから、メンバーの松下功・金沢医大教授は「体を動かさないと寝たきりになる」と注意喚起、活動的な生活を呼びかけている。
JRATでは発災後、医師や理学療法士らが避難所を回り、高齢者らの身体状況を確認。福祉用具の手配や床の段差を解消するなどしてきた。JRATによると、金沢市の避難所「いしかわ総合スポーツセンター」で3月末までに、経過を確認した295人の避難者のうち、13人に身体機能の低下が認められたと報告された。歩行や食事の際に介助を要するなど、要介護状態になった人もいた。他の避難所や仮設住宅でも同様のケースがありそうだ。
精神面に不調を抱えながら体を動かさない生活が続くと、「フレイル(虚弱)」が進行して急速に要介護になる恐れがある。東京大の飯島勝矢教授(老年医学)は「フレイルは回復できる時期。兆候がみられたら『今が勝負』という意識を支援者らと共有し、運動を促すことが重要だ」と話す。
松下さんは「まずは首を動かす、体をねじる、足を動かすといった体操をしてほしい」と避難者に呼びかけるが、テントから出てこない人もいるという。〔共同〕
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。