山形、秋田両県での記録的大雨による被害から25日で1カ月となった。最上川などの氾濫で推定2千棟超の住宅が浸水などしたほか、農林水産業や道路、堤防といった公共インフラの被害総額は「過去最大」(山形県)となる見通し。
今も180人以上が避難生活を送る中、自宅再建を諦め移住を選ぶ住民も目立ち、一部の被災集落は存続の危機に直面している。
荒瀬川が氾濫した山形県酒田市。荒町地区の教諭、小松有更さんは避難所に身を寄せつつ、自宅から泥をかき出す作業に追われていた。「家のカビや土ぼこりで妻も私も肺炎になった。再び住むには半年かかる」とため息をつく。
自宅が浸水した男性は40年以上暮らした同地区から離れることを決めた。「家の中まで土砂や木が流れ込んできた。本当は住み続けたいが、再建は諦めた」。酒田市の別の地区など被害が特に大きかった地域で同様の動きがあるという。
酒田市は大雨特別警報が1日に2回出る異例の豪雨に見舞われ、住宅被害は被災市町村で最大の700棟超。市担当者は「これほどの災害は知見がなく、被災者の生活再建をどう支援できるか未知の領域。地域の復旧のビジョンも描けていない」と重い口調で話した。
両県で計30以上の河川が氾濫し、最上川中流域にある山形県戸沢村は中心部の村役場まで浸水した。幹線道路の通行止めや堤防決壊が各地で相次ぎ、JR在来線の一部区間は現在も運休が続く。
山形県新庄市で住民救助に向かった警察官2人が死亡するなど死者は計4人。秋田で1人の行方が分かっていない。〔共同〕
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