大阪府羽曳野市の路上で、男性を刃物で刺して殺害した罪に問われている男の裁判員裁判で、検察が求刑を行う裁判が始まりました。

男は逮捕段階から一貫して無罪を訴えています。

山本孝被告(48)は2018年、羽曳野市の自宅近くの路上で、近所に住む会社員の平山喬司さん(当時64歳)を刃物で刺して殺害した罪に問われています。

■「 証拠なんてやってもないから出るわけない」一貫して無実主張

平山さんの死因は、背中を刃物で一突きされたことによる出血性ショックでしたが、凶器や目撃者は見つからず捜査は難航しました。

直接証拠がない中で、警察は現場となった住宅街の一角が外部からの侵入経路が限られる「密室的」な区画であったことに着目。

侵入者がいれば現場周辺の車のドライブレコーダーや防犯カメラに映るものの、そうした映像はないとして、犯人をこの区画内の住人に絞り込んで捜査(※)し、逮捕されたのが山本孝被告(48)でした。

山本被告は、平山さんがたびたび訪れていた知人女性の自宅の隣に住んでいて、この女性と植木鉢の置き方などを巡って度々トラブルになり平山さんが仲介に入っていたことや、防犯カメラに映っていた不審な男の特徴などから、捜査線上には早くから浮上していた人物でした。

一方、山本被告は当初から一貫して無実を主張していました。

【逮捕前の山本被告(2018年5月)】「 証拠なんてやってもないから出るわけない」

※裁判ではカメラに映らない、狭いあぜ道などの通り道があると弁護側が指摘し、検察側も認めています。

■「私はやっていません。私は犯人ではありません」無罪主張

事件から6年が経ち、ようやく始まった裁判でも山本被告は、「私はやっていません。私は犯人ではありません」と無罪を主張していました。

また弁護側も、「被告が犯人であるという痕跡はなく、直接証拠がない」と無罪を主張しています。

検察側「植木鉢を巡ってトラブルがあり、犯行動機がある」など主張

検察側は、「被告人は平山さんの知人と植木鉢を巡ってトラブルがあり、犯行動機がある。またドライブレコーダーの映像から、犯人と身体的特徴が一致することから、被告人が犯人である。被告人は犯行前に被害者を監視していて、被害者が車を降りるのに合わせて犯行に及んだ」などと、これまでの裁判で主張してきました。

■長期の裁判は9月27日判決言い渡しへ

直接証拠がない中で、状況証拠の数々を審理する裁判は、すでに初公判から2カ月半以上続いています。

17人に対する証人尋問が行われ、検察・弁護側双方が証拠について意見を述べる論告・弁論は今回で4回目。

8月28日に結審し、判決は9月27日に言い渡される予定です。

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