岩手県内は8月27日夜、線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、盛岡市では中心部など中津川の流域に一時避難指示が出されました。
一夜明け各地の被害が明らかになってきています。
前線や暖かく湿った空気の影響で県の内陸部では27日夜、線状降水帯が発生し、気象台は顕著な大雨に関する情報を発表しました。
盛岡市北部・南部・薮川では、27日夜1時間に約100ミリの猛烈な雨が降ったとみられています。
降り始めから28日午前5時までの雨量は、盛岡市薮川で211.5ミリ、盛岡で128ミリに達しました。
27日午後11時ごろの盛岡市中心部を流れる中津川では、激しい濁流にタイヤや木が流されていて岸いっぱいまで水があふれています。
中津川が氾濫危険水位に達したため、盛岡市は27日午後10時半に中津川流域の近くに住む2万5809人に避難指示を出しました。
開設された避難所の一つ米内中学校では避難した人が不安な一夜を過ごしました。
避難した人は「(外が)真っ白というか雨で見えない。屋根から落ちる雨が滝のようだった」と話していました。
関場正浩記者
「盛岡市の国道です。道路が冠水し車が立ち往生しています」
盛岡市門の国道396号線では、車のナンバーの辺りまで水がたまっている場所があり複数の車が動けなくなっていました。
一夜明けた28日の盛岡市上米内の百目木橋では、27日の米内川の増水で橋には大量の流木が引っかかっていました。
そして近くの道路の一部は崩れています。川は茶色く濁り28日朝も強い勢いで水が流れています。
近所の人
「怖いなと思った。何年か前にも被害があったが今回は本当にひどい」
盛岡市では住宅の床上・床下浸水が合わせて16棟で確認されました。(午後3時時点)
床上浸水があった盛岡市上米内の住宅では、床一面が泥にまみれ汚れた靴や衣類・食器などが散乱しています。
床上浸水した家の住人
「今までにない勢いで水が上がってきた。本当に恐ろしかった」
井上智晶アナウンサー
「盛岡市上米内地区の水田では近くの米内川からあふれ出た泥水が入り込み、収穫間近の稲が倒れてしまっています」
この地区で60年以上コメ作りをしている渡辺啓治さんの水田300アールには、川の氾濫で泥水やがれきが流れ込みました。
9月上旬に出荷する予定でしたが約8割は収穫できないということです。
渡辺啓治さん
「どうしようかなと思って。やる気がなくなっていた。やめるしかないのではないか」
内記和人記者
「きのう一時氾濫危険水位に達した中津川です。昨夜よりも水位はだいぶ下がっているように見えますが、以前河川敷にあった遊歩道が見えないほどの水位です」
中津川では28日午前7時ごろ、女性が流されているのを近くの住民が発見し警察に通報しました。
女性は約500メートル下流の岸に流れ着き、特にけがはなく命に別条はないということです。
交通にも影響が出ています。
国道455号線は盛岡市の上米内と薮川との間で一部が陥没していて全面通行止めとなっています。
このほか上米内と新庄を結ぶ県道と岩手町の川口地区の県道でも当分の間全面通行止めとなる見込みです。
またJR山田線は28日、盛岡駅と川内駅の間で運転を見合わせました。
29日以降は盛岡~宮古間で運転を見合わせるということで復旧のめどは立っていません。
県内は28日夜遅くまで大気の非常に不安定な状態が続く見込みで、28日予想される1時間降水量は内陸・沿岸とも多い所で50ミリとなっています。
29日明け方にかけて土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒が必要です。
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