突風による被害を受け、屋根瓦などが散乱した宮崎市の住宅街(29日)=共同

台風10号が猛威を振るい、九州の福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の7県で29日までに、強風にあおられて転倒するなどして計73人がけがをした。また鹿児島港の海中で29日、男性の遺体が見つかった。付近で28日に60代男性が船から海に落ち行方不明になっており、鹿児島海上保安部などが関連を調べる。

大分県の複数の自治体は河川氾濫の恐れがあるとして、一部地域に「緊急安全確保」を発令。大分県は全市町村に、福岡県は一部自治体に災害救助法の適用を決めた。

宮崎県によると、県内の負傷者は35人。約5千人が避難した。宮崎市内では突風などによる建物被害は計約220件に上った。同市大淀では、ビルの壁に大きな穴が開くなどの被害が出た。高千穂町によると、土砂が道路をふさぎ9世帯が孤立したが、体調不良を訴える人はいないという。

鹿児島県では、さつま町で80代男性が2階の屋根から転落するなどして24人が負傷した。

台風が上陸した薩摩川内市内の体育館に妻(69)と一緒に避難した男性(74)は「命を守る行動を取ってほしいと呼びかけるニュースを聞き、頑丈な建物に逃げなきゃいけないと思った」と話していた。

宮崎、鹿児島両県などの一部地域では携帯電話がつながりにくくなったり、停電で断水したりした。

愛知県蒲郡市の住宅が倒壊し住んでいた家族5人が生き埋めとなった土砂崩れで、市は29日、亡くなった3人は70代の夫婦と30代の長男と明らかにした。救助された長女は軽傷で、次女は重傷を負った。

〔共同〕

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