兵庫県知事が内部告発された問題を巡って開かれた県議会の百条委員会(7月19日)=共同

兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題を巡り県議会に設置された百条委員会は、自治体の事務に関する疑惑、不祥事の事実関係を調査する役割を担う。

虚偽証言など実態解明を妨げる行為に刑事罰を科すことができ、強力な権限は地方議会にとって「伝家の宝刀」とも呼ばれる。調査が首長の辞職につながった例もあり、行政運営に一定の影響力を及ぼす。

名称の由来となった地方自治法100条を根拠とする。議会の議決に基づき調査実施を決め、議員が委員を務める。国会の国政調査権に匹敵する権限があり、関係者の出頭や証言、記録の提出を請求することができる。

調査の実効性を下支えするのは刑事罰の規定だ。虚偽の証言、正当な理由がない証言拒否や記録の不提出に罰則があり、これらの行為が認められた際に「議会は告発しなければならない」とも定めている。

総務省の資料を集計したところ、同法100条に基づく調査は2007〜22年度で281件。うち58件で虚偽の証言や証言拒否などの疑いで告発があった。直近の21〜22年度も38件の調査例があり、入札を巡る官製談合疑惑や政務活動費の使途などが俎上(そじょう)に載せられた。

首長にかけられた疑惑が調査対象になった事例も少なくない。

大阪府池田市では市長が庁舎内に家庭用サウナを持ち込むなどした問題が発覚し、20年11月に市議会が百条委を設置。21年4月に辞職を求める調査報告書がまとめられ、市長は辞意を表明した。

奈良県宇陀市の百条委は19年、市有施設の指定管理者を巡る市長の専決処分について調べた。「市長の権限を逸脱しており、適法ではない手続きだった」と結論づけた後、市議会は2度にわたって市長の不信任決議案を可決。最終的に市長は失職した。

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