【気象予報士・片平敦さん】
台風の今後の進路を見ていきましょう。

相変わらずこの後も 台風は速度が遅いです。まずこの後、今夜にかけて、台風は少し南寄りに進路を取るくらいなんですね。珍しい進路だと思います。

四国方面に進んでいて、再び上陸する可能性が高まっています。

その後、31日(土)そして1日(日)にかけてゆっくりと進んで、1日に近畿地方の近くに、ようやく進んできます。

速度が上がらない状況で、1日の朝までに、台風は、熱帯低気圧に姿を変えてくる見通しです。

■なぜこんなに台風の速度が遅い?

ただ、とにかく速度が遅いということで、なぜこんなに遅いの?と思っている方が多いかと思います。

理由は、台風は自力で動くことができず、周りの風に流されるというところがポイントです。

夏の高気圧のヘリを回って、台風が進むということもあります。

これまでは、夏の高気圧が割と張り出していたので、このへりに沿うように進んでいたんですが、高気圧が弱まってしまうというタイミングで、高気圧が離れてしまうと台風を流す風が弱まってしまいます。


■偏西風も、高気圧も離れているために速度が遅く、進路が定まらない

秋口になると、台風が日本の近くで、風が強まり、速度は速くなるということがあります。偏西風という強い風に乗るんですけども、まだこの時期は、偏西風はずいぶん北の方で離れています。

この偏西風も、高気圧も離れているということで、うろうろ、ノロノロと速度が遅い。しかも進路が定まらないという状況が続いています。

■台風と熱帯低気圧の違いは

そして、もう1つ気をつけていただきたいのが、台風が1日には、熱帯低気圧に変わる予想に変わってきました。

熱帯低気圧に変わって、台風はなくなったら、もう大丈夫なのかなと思ってしまいがちですが、決してそうではないということを知っていただきたいと思います。

台風と熱帯低気圧の違いは、風の強さが風速17.2メートル以上で台風と呼びます。
それ以下は熱帯低気圧というだけです。

雨雲をつれてきているという点に関しては変わらない。

この基準を見ていただくと、雨という言葉が出てこないので、雨の強い・弱いというのは、台風であるか、そうでないかに関係ありません。

暴風域もなくなって、風はこれまでの当初の予想よりもだんだん弱くなってきたと思うんですが、雨については、今までの予想と変わらず、非常に危険だと思っていただきたいです。

現在の雨雲の様子は、台風の渦巻きが台風から少し離れている地域、徳島県のあたりや、もっと離れた関東地方にも発達した雨雲があります。

台風の周りは、時計の針と反対回りに風が吹いていますので、自分のいる場所よりも、台風が西側にあると、ずっと南から湿った風が吹いてくるので、この状況が長引いてしまっています。

■同じ場所で降水量が多く

同じようなところで雨の量が多くなっています。ここ4日間で降った雨の量です。

台風に近い九州で特に雨量が多くなっていて、宮崎県のえびの高原は雨が降り始めからの雨量が900ミリを超えました。

えびの高原で、8月1カ月に普段降る雨の1.6倍。それがわずか3、4日で降っています。

今後、発達した雨雲が進んでくるということで、予想される雨の量は、31日の昼までに東海・近畿・四国では、多いところで300ミリ、東海地方は1日昼までの24時間に400ミリ。2日の昼までにさらに200ミリということで、この後さらに雨量が多くなり、災害の危険性が高まってくる見通しです。

■台風が熱帯低気圧に変わっても雨の強さは変わらない

台風が熱帯低気圧に変わっても、雨の強さは変わらない状況が続いています。

1999年に、神奈川県の玄倉川という川でキャンプ客が中洲に取り残されて大勢の方が亡くなったという悲しい事故もありました。

熱帯低気圧で大雨になったということで、熱帯低気圧になっても、雨というのは変わりませんので、しっかりと対策を取っていただきたいです。

さらに線状降水帯が発生する可能性は、四国では引き続き31日の午前中にかけて、近畿・東海では、今夜からまた危険性が高まって、31日午前中にかけて予想されています。

線状降水帯が出ると、もっと雨量が多くなる恐れがありますから、特に雨への警戒を緩めないようにしていただきたいです。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2024年8月30日放送)

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