百条委員会の証人尋問を終えて、報道陣の質問に答える斎藤元彦知事(30日、兵庫県庁)

自身のパワハラ疑惑などを巡り百条委員会で30日に証言した兵庫県の斎藤元彦知事は2021年7月、日本維新の会と自民党の推薦を受け、5期20年続いた井戸敏三前知事の後継候補を破って43歳で初当選を果たした。

神戸市出身。東京大学を卒業後に総務省に入省し、宮城県や大阪府などの出向先で地方自治の現場を歩んできた。知事選の公約に掲げたのは「ボトムアップ型の県政」。就任直後から知事への「お伺い」や長時間のレク(知事への説明)を減らすといった取り組みを進めた。

2021年7月、当選が確実となり花束を受け取る斎藤元彦氏(神戸市中央区)

だが実際には、百条委が実施した職員アンケートには「興味がない事業では職員の説明を受け付けない」「細かいことでも(報告がないと)『聞いていない』と怒る」との回答も。議会への事前説明が不足し「議会軽視」と批判する県議も少なくない。

一連の問題を受け、斎藤氏を支えていた片山安孝副知事は7月末に混乱の責任を取るとして辞職。告発文書に名前が挙がった小橋浩一前理事と井ノ本知明前総務部長も7月下旬から体調不良を理由に職を離れた。側近3人が現場を離脱するなか、苦しい県政運営が続いている。

30日の百条委を傍聴した同県尼崎市の主婦(51)は「斎藤知事と百条委の委員との間で押し問答に終始した印象を受けた。県政の混乱が続くことを考えると、県民として不安な気持ちで一杯だ」と話した。

同県西宮市の無職男性(71)は「知事は自らが不利になる肝心なことを話さなかった。すぐにリーダーを代えれば済む話ではないが、支えてきた幹部を含めて問題の責任がある」と指摘している。

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