福岡市動物園でゾウの運動場の柵をすり抜け敷地外に出た子ゾウ(左端)。子ゾウの下には来園者が利用する通路がある=KU-MAさん提供

 福岡市動物園で8月にアジアゾウの子ゾウ(雌、3歳)がゾウ舎の運動場の柵をすり抜け、来園者側エリアに出ていた問題で、高島宗一郎市長は2日の定例会見で「決してあってはいけないこと。深刻に受け止め、早急な対応を取るよう指示した」と述べ、園の安全対策を見直す必要があるとの認識を示した。

 園によると、子ゾウが柵の外に出たのは8月18、20、23日の計3回。柵となっている支柱と支柱の間に架かるワイヤの隙間(すきま)(高さ約66センチ)から脱走した。

 18、20日は飼育員らが気付いてすぐに連れ戻したが、23日は飼育員らが近くにいない間に柵の外の高台となっているところを動き回り、来園者通路のすぐ近くまで移動。脱走の様子を撮影した動画がX(旧ツイッター)で拡散され、問題となっていた。

 一方、園が公表したのは最初の脱走から9日後の27日だった。高島市長は「私もゾウが出ている(23日の)動画を見て知り、その前(18、20日)は知らなかったが、その時点で早急に対策を取るべきだった」と述べ、園から報告を受けていなかったことを明かした。

 そのうえで「市民がゾウの全面公開を楽しみにする中、このようなことが起きてしまい大変問題だと思っているし、市民に心配をおかけして大変申し訳ない」と謝罪。「来園者の安全確保は前提中の前提。肉食(動物)ではないかもしれないが、子ゾウであっても不慮の事故があり得る話だった」と述べた。【竹林静】

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