「敦賀市議会ハラスメント防止条例」案の提案理由説明後、質疑に応じる提案者の三田村峻市議(中央奥)=福井県敦賀市役所で2024年9月6日午前10時59分、高橋隆輔撮影

 福井県敦賀市議会で6日、市議によるハラスメントを防止する条例案が議員提案で提出された。地方自治研究機構によると、北陸3県では議員主体に限らずハラスメントを防止する条例は定められておらず、成立すれば初めてとみられる。

 2人会派に所属する三田村峻市議が提出した。議員間や、議員から市職員へのハラスメント防止が目的で、パワハラや妊娠、育児等に関するハラスメント、アウティング(性的指向等についての本人の望まない暴露)など5種類を規定した。被害者は議長に被害を申し立て、議長が主導して事実関係を調査し、注意や当該議員の氏名公表などを行う、としている。

 地方自治研究機構によると、全国の60以上の自治体にハラスメント防止条例が広がっている。三田村市議は、先進例とされる千葉県柏市議会を視察するなどして、条例案を作成。6月に各市議に提示していた。

 同市議会で条例案が議員提案で出されるのは2011年以来13年ぶりで、議会活性化の契機ともなることも期待される。また、三田村市議は「市民に見える場所で議論すべき」と考え、多数派工作は行っていないという。

 この日の本会議では、自民系の最大会派などから「ワーキンググールプなどを開催して議会全体のコンセンサス(合意)を得て提案し、全会一致で可決するのが採るべきプロセス」などと、議会の慣例が守られていないことを疑問視する声が上がった。三田村市議は「可能な限り早く実現したい思いがある。事前に合意形成しなければ提出できないものでもない」と反論したが、成立するかは現時点では未知数だ。

 条例案は今後議会運営委員会で審査され、最終日の10月9日に採決される。【高橋隆輔】

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