気象庁は6日、有識者でつくる南海トラフ地震評価検討会の定例会を開き、想定震源域周辺の地震活動や地殻活動を分析した。検討会会長を務める平田直・東京大名誉教授は記者会見で「通常時と異なった現象は観測されていない」との見解を示し、日頃からの備えを続けるよう呼びかけた。

気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表してから8日で1カ月となる。マグニチュード(M)8〜9クラスの地震の発生確率は平常時でも今後30年以内に70〜80%とされ、平田会長は「不意打ちで前触れもなく起きる可能性がなくなったわけではない」と強調した。

8月8日にM7.1の地震が起きた日向灘付近の地震活動は弱まり、9月1日以降は震度1以上の揺れを観測していない。気象庁は「新たな大規模地震の発生可能性は時間を経るにつれて低下してきた。引き続き注意深く地殻活動の推移を監視する」と説明した。

日向灘の地震に伴い気象庁は臨時情報を発表。平常時と比べて巨大地震のリスクが数倍程度高まっているとして、1週間後まで通常通りの生活を続けながら備えを再確認するよう呼びかけた。

臨時情報を受けて津波などの被害が想定される自治体が避難所を開設する動きがあったほか、東海道新幹線が一部区間で減速運転に切り替えた。

一部の自治体が不要不急の外出自粛を求めるなど臨時情報を受けた対応が割れた点もあった。内閣府は南海トラフ地震に関する作業部会で自治体や企業の動きを振り返り、対応を検証する。

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