2023年9月8日、福島県いわき市を襲った線状降水帯による大雨。いわき市では一晩で平年の9月ひとつき分に相当する雨が降り、10の河川が氾濫し、約1800の住宅が浸水した。あれから一年、当時の避難のあり方に、疑問が投げかけられている。
<橋が流され孤立>
「橋が流されてしまって、1年経った今でも、まだ橋は戻ってきてない状態です」と話すのは、いわき市内郷白水町の松崎孝志さん。
自宅近くの川の氾濫で橋が流され、松崎さんをはじめ5世帯が1週間ほど孤立した。
松崎さんは「買い物に行けない、仕事にも行けない、水道も止まってしまっている。普段お風呂に入れたのが入れないとかで、肉体的にも精神的にも非常にしんどかった」と振り返る。
自宅は比較的高台にあり、低い場所に避難することが逆に危ないと立ち止まった結果の孤立だった。「避難」をめぐっては、新たな問題も判明している。
<切迫した状況での避難も>
いわき市の災害検証チームが、1700世帯あまりを対象に実施したアンケートでは、約11%が当時「避難した」と回答。うち半数は「家の近くや1階にまで水が来ていた」という切迫していた状況で、避難を行っていたことが明らかになった。
松崎さんも、安全な場所に身を置くという判断に間違いはなかったと思っているものの、孤立を防ぐための新たな避難経路の確保を市に求めながら、自分を守る行動を意識するようになった。「誰もが、この橋がなくなるとは思っていなかった。台風とか、大雨の情報とかは、かなり意識して判断している」と松崎さんは語る。
「最適な避難のあり方」は自分にしか決められないもの。災害が起きる前から、自分の身を守る行動を考えておくことが重要だ。
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