静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん（当時）を通園バスに放置し熱中症で死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた前園長、増田立義被告（74）と元クラス担任、西原亜子被告（48）は23日、静岡地裁（国井恒志裁判長）の初公判でいずれも起訴内容を認めた。増田被告は「千奈ちゃんを失わせたことを河本夫妻に謝罪したい。私の責任と思います」と述べた。
被告人質問では、被害者参加制度で公判に出席した千奈ちゃんの父親（39）から「千奈がどうすることもできず亡くなった時の気持ちを考えたことがあるか」と問われ、「苦しい思いをしていたと思う」と答えた。
車内の点検を怠った理由については「親族の事柄で病院で打ち合わせすることになっていて、焦っていた」などとした。
検察側は冒頭陳述や証拠調べで、ドライブレコーダーの記録を基に、園の前でバスを停車させた際に残っていた千奈ちゃんが「あっ、ケーキバス」「後ろから来てるよ」などと声を上げたが、運転席の増田被告は気付かなかったと指摘。バス内からは、母親が麦茶でほぼ満杯にして持たせた水筒が、空の状態で見つかったと明かした。
バスに残された時間帯に合わせた再現実験で、車内温度が45度程度まで上昇したと説明。増田被告は園全体の統括管理や園児の安全管理の業務に従事していたのに送迎補助員との間でバスでの安全確認や指導をせず、西原被告は千奈ちゃんが欠席したと思い込み確認を怠ったと主張した。
起訴状によると、増田被告は22年9月5日、千奈ちゃんが取り残されたままなのに窓を閉め切ったバスを施錠、西原被告は保護者に連絡を取るなどして所在確認せず、午後2時5分ごろまで車内に閉じ込めて熱中症で死亡させたとしている。〔共同〕
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