2022年9月、静岡県牧之原市で送迎バスに3歳の園児が置き去りにされ、重度の熱中症で命を落としました。暑い夏は目前に迫っています。幼い命が二度と失われないための保育施設の対策や今後の課題をまとめました。
福岡の事件から1年後に静岡でも…
2021年7月、福岡県の保育園で5歳の男の子が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡しました。その1年後…。
静岡県牧之原市の川崎幼稚園で3歳の女の子が送迎バスに置き去りにされ、命を落としました。繰り返された悲惨な事態…。
小倉将信 こども政策担当相(当時):
(福岡・静岡)二度、この事件事故が起きてしまった。三度目はあってはならない
国は全国で送迎バスの緊急点検を行うことを指示。県内では国の指示を待たずに安全点検を進めました。さらに…。
小倉将信 こども政策担当相(当時):
経過措置は1年としていますが、我々としては夏の本格的な到来の前に、6月末までに安全装置を設置してもらえるよう働きかけていきたい
安全装置の設置義務化を決定
事件から1カ月後。国は送迎バスへの安全装置の設置義務化を決定。
対象は全国の保育所・幼稚園から児童発達支援施設などの約4万4000施設です。
県内でも804の施設で設置が進められ、万が一の時にはしっかりと園児自身が使えるようそれぞれの施設で訓練が行われています。
下田認定こども園・笹本ゆかり 園長:
子供たちを守るために子供たちに(安全装置を)知らせ、保護者にも安心感を与えていきたい
静岡市では2024年1月、57の市立こども園などに登園管理システムを導入しました。
園児が登園しているかどうかをアプリで管理・共有し、登園や降園の状況をリアルタイムで保護者側にも伝えられるようになりました。
保育士の業務負担を軽減しながら、より園児の安全が確保されると期待されています。
牧之原市事故検証委員会・永倉みゆき 委員長:
当該園はもちろんのこと保育に関わる全ての人々が今一度、保育環境や保育方法を見直し、子供の命を守り育てることの重みを再認識してくださることを委員一同、切に願って提言を報告します
事故のあと牧之原市が設置した専門家による検証委員会は、1年半にわたって調査や検討を重ね、3月に再発防止策を提言しました。
牧之原市事故検証委員会・永倉みゆき 委員長:
ただ安全だけではなくて、それを踏まえて子供を育てるという意識を持つことが何よりも大事
幼い命が二度と失われないための対策は、まだ道半ば。暑い夏は目前に迫っています。
事件をきっかけに安全対策に取り組む
送迎バスの安全に向けた取り組みについてお伝えしていきます。
・2021年7月:福岡県中間市のふたば保育園で、当時5歳だった男の子がバスに置き去りにされて熱中症で死亡
・2022年9月:牧之原市の川崎幼稚園で、当時3歳だった河本千奈ちゃんがバスに置き去りにされて熱中症で死亡
・2022年10月:国がこどものバス送迎に関する安全徹底プランを示す
・2023年4月:安全装置設置の義務化へ
静岡県内の安全装置の設置率
静岡県のまとめによりますと804施設1841台が運行していて、2023年10月31日時点では70%が安全装置を設置をしていたということです。
2024年3月末の完了(予定)しているのは99.9%ということで、4月19日現在で100%に達成したかは調査中です。
専門家「全ての大人が考え続けて」
専門家にも伺いました。
常葉大学保育学部・石田淳也 助教によりますと…。
・安全装置などは業務をサポートするものであり、代行するものではない。人とのバランスが大事
・社会のマナー・交通ルール・安全対策など家庭などでも子どもに伝えていく。これにより、子供に自分自身を守る力が身に付く
・「身近でも起こりうること」を全ての大人が考え続けてほしい
事件は暑い時季に起きてしまいましたが、季節に関係なく園でそれぞれの対策を考えていってほしいと思います。
そして、多くの大人が身近でも起こりうるということを考え続けることで、より多くの子どもたちにも安全対策が伝わわると思います。
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