プリンター用インクカートリッジの仕様を変え、リサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するとして、リサイクル品製造販売のエコリカ(大阪市)がキヤノンに仕様変更の差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が12日、大阪高裁であった。徳岡由美子裁判長は一審判決を支持し、エコリカ側の控訴を棄却した。
争点は、キヤノンが2017年に発売したカートリッジについて、ICチップに記録されるインク残量データを初期化できないようにした仕様変更が独禁法の禁じる「抱き合わせ販売」や「競争者に対する取引妨害」に該当するかどうかだった。
訴状などによると、エコリカは回収した使用済みのカートリッジにインクを再注入し、キヤノンの純正品より安く販売していた。ICチップの仕様変更により、リサイクル品をプリンターに入れると「インクなし」と表示されるようになったという。
23年6月の一審・大阪地裁判決は、インク残量が表示されなくても、カートリッジの本質的な性能に大きな影響を与えないと指摘。「(消費者が)純正品の購入を余儀なくされているわけではない」とし、独禁法違反に当たらないとの判断を示した。
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