“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性が殺害された事件から6年が経過した12日、注目の裁判員裁判が始まった。夫だった野崎幸助さんを殺害した罪に問われている須藤早貴被告(28)は無罪を主張、一方の検察側は「莫大な遺産を得るために殺害した」と主張した。この裁判の行方について専門家は、有罪のハードルは高いと指摘した。

黒のノースリーブのワンピース姿で入廷した須藤早貴被告

12日午前10時半過ぎの和歌山地裁。

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黒のノースリーブのワンピース姿で入廷した須藤早貴被告(28)。

須藤被告は2018年、夫だった野﨑幸助さん(当時77)に覚せい剤を摂取させ、殺害した罪に問われている。

初公判で早貴被告は「私は社長を殺していませんし覚せい剤を摂取させたこともありません。私は無罪です」と、小さな声で無罪を主張した。

検察官が起訴内容の朗読をしている時、特に動揺したような様子はみられなかったが、その時少し耳を触るような、髪をかき上げるような様子がみられた。

一方検察側は冒頭陳述で、「被告は野崎さんと財産目当てで結婚し、完全犯罪により莫大な遺産を得るために殺害した」と主張。

そして事件前に早貴被告が、「完全犯罪」、「老人死亡」、「覚せい剤過剰摂取」などと検索していたことが明らかになった。

さらに、「妻に全財産残したい場合の遺言書の文面」とも検索。密売サイトで、致死量の3倍以上にあたる3グラム以上の覚せい剤を注文していたという。

今回の事件では直接的な証拠が少なく、検察は異例の28人もの証人尋問を予定し、早貴被告の犯行を立証する方針。

専門家「合理的な疑いを超える程度に犯罪等の立証が必要」

一方、刑事事件に詳しい弁護士は、有罪のハードルは高いと指摘した。

弁護士法人ユア・アース正木絢生代表弁護士:
刑事裁判では、合理的な疑いを超える程度に犯罪等の立証が必要で、たとえば被害者が自ら覚せい剤を摂取した可能性が十分に残ると、有罪とはならない。

立証が不十分とみなされる可能性もあると指摘する。判決は2024年12月に言い渡される。
(「イット!」 9月12日放送より)

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