地蔵の隣で感謝状を持つ柏渕ミイさん=東京都港区白金台5で2024年9月12日午後3時、朝比奈由佳撮影

 交通事故が起きていないのは地蔵のおかげ――。約10年間にわたって人身事故の発生がないという東京都港区白金台の一角。高級レストランなどが建ち並ぶ通称「プラチナ通り」を見守る1体の小さな地蔵の手入れを約20年間続けたとして、警視庁高輪署は12日、近くに住む柏渕(かしわぶち)ミイさん(89)に感謝状を贈った。

 高輪署によると、地蔵は台座を合わせて高さ約1メートル。約60年前に付近の道路が整備された際、地中から見つかったものだが、いつ造られたものかなど詳細は分かっていない。

「プラチナ通り」を見守る地蔵=東京都港区白金台5で2024年9月3日午後3時43分、朝比奈由佳撮影

 約20年前、柏渕さんは親戚の子どもが病気がちだったことから、地蔵の近くを通るたびに手を合わせた。片側2車線で交通量が多いプラチナ通りで交通事故を目撃することもあり、次第に交通安全を祈って毎朝、水を供え、花を手向けるように。赤い前掛けは手作りし、汚れると新しいものに交換した。不思議と交通事故は減り、約10年前から人身事故は起きていないという。

 2024年4月25日夜、地蔵のさい銭数百円が盗まれる事件が起きた。高輪署は、近所への聞き込みで柏渕さんが地蔵の管理をしていることを初めて知った。事件の被害者を柏渕さんとし、60代男性を窃盗容疑で9月に書類送検した。

 12日に高輪署で感謝状を受け取った柏渕さんは「地域の人が幸せでいられるように、これからも地蔵の手入れを続けます」と話した。【朝比奈由佳】

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