子宮頸(けい)がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種率が、2000年度生まれ以降で大きく低迷していることが、14日までに大阪大のチームの分析で分かった。定期接種の積極勧奨を差し控えた影響とみられる。

医療機関で行われるHPVワクチン接種の様子(13日、神奈川県内)=共同

接種機会を逃した1997〜07年度生まれの女性に対する救済措置の期限が来年3月末に迫っており、無料で打ち終えるには初回を今月中に打つ必要があるため、厚生労働省は接種検討を呼びかけている。

子宮頸がんは子宮の出口近くにできるがんで、ウイルスの感染が主な原因。20代から患者が増え始める。毎年約1万1千人の女性がかかり、約2900人が死亡する。感染予防のワクチンが開発され、厚労省は10年に公費助成を開始。13年4月に小学6年〜高校1年に相当する女子を対象に定期接種化した。しかし接種後に全身の痛みなどの訴えが相次ぎ、積極勧奨を一時中止。安全性と有効性が確認されたとして22年4月に再開した。

チームは接種人数のデータを集計し、22年度までに1回でも接種した人の割合を年齢別に算出した。公費助成で接種が進んだ1995〜99年度生まれが70%以上に対し、積極勧奨が差し控えられた後の世代の2000〜04年度生まれは9〜20%と大幅に低かった。

最新の9価ワクチンは90%ほどの予防効果があるとされる。ワクチンは3種類あり、いずれも約半年かけて3回接種。9月中に初回を打てば来年3月末までに接種が完了する。

集計した上田豊大阪大講師(婦人科腫瘍)は「積極勧奨の差し控えによって接種を行わなかった女性では、がんのリスクが高まるのは必至だ」と指摘、救済措置での接種でリスク低下を促している。〔共同〕

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