CF成功を告げる画面を手に、施設開設に意気込む土井友加利さん=大和高田市永和町で2024年7月20日午後3時34分、稲生陽撮影

 保健所などでの殺処分を免れた野良猫の保護を目指し、奈良県大和高田市永和町の自営業、土井友加利さん(58)が5~7月に挑戦したクラウドファンディング(CF)が成功し、保護施設の開設が決まった。当初目標の500万円に対し、全国の約750人(直接持参した人なども含む)から1190万円が集まった。土井さんは「全国から寄せられた期待と善意に感謝したい。これからがスタート」と気を引き締めている。

 土井さんは2013年、けがをした子猫を助けたことから活動を開始。今では小さな自宅で数十匹の猫を預かっており、費用捻出のため、深夜の工場でのアルバイトや老後資金の取り崩しなどの無理を重ねている。

 CFでは、近くの空き家2軒をつなげたシェルターを提案。終了直前になって支援が急増し、「最終目標」と設定していた1000万円を超えたため、外から見える猫の通路「キャットウオーク」も設置できることになった。また新聞記事で知ったという支援者の中には「あなたの生活のために使って」と土井さん自身への支援金を手渡す夫婦もおり、土井さんも思わず涙ぐんだという。

 施設は光熱費軽減のための断熱加工などを予定しており、20日ごろから着工の見通し。CFの過程で参加することになった学生ボランティアらの協力も得て11月中に完成させる計画だ。一方で完成後は猫の引き取り依頼や捨て猫の増加なども懸念される。土井さんは「既に引き取りの相談も増えていて不安はあるが、閉鎖的な施設にはしたくない。外からもよく見える構造にしたい」と意気込んでいる。【稲生陽】

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