電動キックボードが絡む事故が2024年1〜6月に全国で134件発生し、うち23件(17%)が飲酒運転だったことが19日、警察庁のまとめで分かった。飲酒運転は未明の時間帯が目立ち、割合は自転車や原動機付き自転車と比べ高い。23年7月に交通ルールが整備されたが違反が横行しており、警察は取り締まりを強化する。

23年7月施行の改正道交法は最高時速20キロ以下といった一定の要件を満たす電動キックボードを「特定小型原動機付き自転車」と分類し、運転免許なしでの公道走行を認めた。警察庁は今回、この区分の車両を巡る事故の状況を分析した。

24年上半期の事故134件のうち20件は歩行者との事故で、20人が軽傷を負った。歩行者側に飛び出しといった違反があったのは3人のみだった。電動キックボード側が飲酒運転だった23件のうち16件は午前0時台から午前5時台に発生していた。

同じ期間に起きた自転車や原付きの事故のうち飲酒運転はいずれも1%で、電動キックボードのルール違反が際立って多い。同庁担当者は「飲酒中に公共交通機関の営業が終了し、キックボードを利用して移動したと考えられる」とみる。

特定小型原付きに分類される電動キックボードは免許が不要だが、呼気に一定量を超えるアルコールが含まれる酒気帯び運転や、正常な運転ができない恐れがある酒酔い運転の場合は刑事罰が科される可能性がある。

警察庁は改正法が施行された23年7月からの1年間の状況も調べた。事故は全国で219件発生し、226人が負傷。死亡事故はなかった。東京都(165件)が最も多く75%を占め、大阪府(38件)が続いた。車両はレンタルサービスのものが9割以上を占めた。

1年間の交通違反は2万5156件。車道ではなく歩道を走行するといった「通行区分」(1万3842件)が最も多く、信号無視(7725件)や一時不停止(1455件)が目立った。

警察庁によると、電動キックボードのシェアリング大手2社の稼働台数は今年7月時点で1万4860台となり、23年6月末時点(5600台)と比べ3倍近くに増えた。各業者は利用前に警察庁監修の交通ルールテストを受けさせるといった取り組みも進めている。

しかし法令順守意識は薄く、違反は後を絶たない。警察庁は飲酒運転をはじめ悪質な交通違反を重点的に取り締まっていく方針だ。

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