警視庁=米田堅持撮影

 不用品の買い取りを装い、高金利で現金を貸し付けたとして、警視庁生活経済課は19日、イベント企画会社「カウリ」(東京都渋谷区)の代表取締役、萩原教章容疑者(40)=東京都江東区=ら男性3人を出資法違反(超高金利など)の疑いで逮捕したと発表した。

 警視庁によると、萩原容疑者らは、利用者から商品を買い取ったと見せかけて代金を支払った後、高額なキャンセル料を支払わせていたという。

 こうした手口は「先払い買い取り」と呼ばれ、警視庁は、キャンセル料と買い取り代金の差額が違法な利息に当たるとして、実質的にヤミ金融業を営んでいたとみている。

先払い買い取り事件の構図

 萩原容疑者らは2022年5月~24年2月に、全国の延べ約1600人に約2億4000万円を貸し付け、利息として約1億3000万円を得ていたという。

 他に逮捕されたのは、職業不詳の五十嵐海斗(30)=東京都大田区、アルバイトの山口修(36)=東京都港区=の両容疑者。

 逮捕容疑は22年5月~23年12月、不用品の買い取りを装って神奈川県の30代男性ら3人に現金約179万円を貸し付け、法定金利の約6~13倍の利息計約114万円を受け取ったとしている。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。

 警視庁によると、萩原容疑者らは「買取キング」の名称でインターネットサイトを運営。サイトでは「あなたの不用品が現金化」「金融ブラック審査OK」などと呼びかけていた。

 利用者には、冷蔵庫やゲーム機の画像の送信を依頼。その後、買い取りを装って代金を振り込んでいた。実際には不用品の売買はなく、商品が届かなかったという名目で、利用者の給料日に合わせてキャンセル料を支払わせていたという。

 利用者には事前に給与明細や銀行口座の入金記録を送らせ、支払い能力があるかをチェックしていた。

ヤミ金、給与ファクタリングから移行か

 ヤミ金業者は近年、警察の摘発を逃れるため、商取引を偽装して貸し付ける傾向にある。弁護士や司法書士で構成する「買い取り金融対策全国会議」代表幹事の前田勝範司法書士によると、「先払い買い取り」業者は遅くとも2021年ごろには確認されている。

 業者は商品の買い取りを装うため、古物商の許可を取得していることが多いが、事前に利用者の所属する会社や月収、他の金融業者の利用履歴を確認。ヤミ金業者の「隠れみの」になっているのが実態だという。

 年利1000%を超える超高金利を要求されるケースもあり、前田氏は「会社に知られることを恐れて、返済のために複数社から借りるようになる人もいる」と指摘する。

 商取引と見せかける手口は、利用者の給与を債権として利息を引いて買い取り、給与の支払日に返済させる「給与ファクタリング」があった。しかし、摘発が強化されたため、より実態がつかみにくい「先払い買い取り」に移行したとみられる。【加藤昌平】

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