「ひょうご埠頭」問題で擁護言説
兵庫県議会での不信任決議案が全会一致で可決された斎藤元彦知事(46)を、「港湾利権にメスを入れたことによって闇社会とそこに追随するマスゴミに潰された」などと擁護する言説がネット上で飛び交っている。
県の外部監査が、港湾事業の不備を指摘したことに基づく主張だが、監査人を務めた公認会計士は「監査で知事の提案を受けることはないし、知事の意向をくむこともありえない」と強く、否定する。
港湾事業で県に改善を求める
斎藤知事が「潰された」とする言説は、2023年3月に公表された県の「22年度 包括外部監査結果報告書」に基づいて展開されている。
報告書は、県の港湾施設を独占的に運営する外郭団体「ひょうご埠頭」が、県から港湾施設の使用料の減免を受ける一方で、転貸した民間業者からは使用料を減免せずに徴収していることを指摘した。
ひょうご埠頭の21年度末の現金預金は約13億7600万円に上った。県に支払う使用料などは県の特別会計に反映されるため議会の審査を受けるが、ひょうご埠頭は非上場の民間企業で、特別会計の枠外で現金預金を使い事業を自由に実施できる。
このため包括外部監査は「県にとって都合の良い『第二の財源』となり得る。減免の必要性も含めて改めて慎重に検討すべきだ」として、県に改善を求めた。
監査は外部の専門家が実施
包括外部監査は毎年度、外部の専門家が監査人を務め、県の事業を精査している。
専門家がテーマを決めて行い、21年度は「農林水産行政に関する財務事務の執行及び事業の管理について」、22年度は「港湾事業に関する財務事務の執行及び事業の管理について」だった。
22年度はRSM清和監査法人神戸事務所の公認会計士、高橋潔弘氏が包括外部監査人を務めた。
高橋氏はテーマの設定理由について「港湾関連事業は予算規模が大きく、これまで取り上げられなかったため」と説明。「テーマ設定も含め、監査について、知事から何か言われることも、知事の意向を考慮することもない」と話した。
包括外部監査に知事の関与はない。
それでも、「ひょうご埠頭」の社長は歴代、県OBが務めていたこともあって、X(旧ツイッター)では「斎藤知事が港湾利権を潰しにかかったので総攻撃を受けている」「斎藤知事がバッシングされ始めたのは、港湾利権にメスを入れたため」などの投稿が相次ぎ、ハッシュタグを付けた「#斎藤知事がんばれ」も一時、トレンド入りした。
兵庫県財政課の担当者は「監査項目は外部監査人が決める。知事の指示や意向が入る余地はない」とし、これらの投稿は事実に基づかないものとしている。【畠山嵩】
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