高松市の称讃寺(瑞田(たまだ)信弘住職)で21日、宗教学者の島薗進さん(75)が講演した。悲しみの受け止め方などを巡る講話に、約200人が聴き入った。【森田真潮】
島薗さんは、大正期から昭和初期に大人気を博した野口雨情作詞の童謡について「『七つの子』(からす/なぜなくの/からすは山に/可愛い七つの子があるからよ……)など、家に帰ることや夕陽を歌った歌詞が多く、望郷の念が込められている」と解説。また、「シャボン玉」(シャボン玉飛んだ/屋根まで飛んだ/屋根まで飛んで/壊れて消えた……)については、子を亡くした悲しみが歌われていると紹介した。
そして、かつては誰もが知っているこうした歌を口ずさんでいたほか、声をあげて悲しむ「泣く文化」もあったが、現在では葬式に大勢の人が集まることも少なくなり、悲しみは胸の内にしまわれることが多くなったという認識を示した。
そのうえで、近年提唱されている、老いや病、死を受け止め支え合う「コンパッション都市」という考え方を紹介。日本でも、新型コロナウイルス禍のなか、こども食堂の開設が増えたことを挙げて「こうした居場所づくりは(死別などの喪失で悲嘆の中にいる人を支援する)グリーフケアの文化に近い」と話し、「利他やケアの復権が必要だ」と締めくくった。
きょう善通寺で「死生観」主題に
講演は、同寺が継続して開いている「お寺de講演会」の一環。22日午後1~3時には、真言宗善通寺派の総本山善通寺(香川県善通寺市)で、島薗さん、瑞田住職と善通寺の菅智潤法主の3氏による「老い方、死に方、死生観」をテーマにしたトークセッションがある。聴講無料。問い合わせは称讃寺(087・885・2012)。
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