大雨で冠水した仮設住宅団地=石川県輪島市宅田町で2024年9月22日午前11時2分、大西岳彦撮影

 能登半島地震後に建てられた仮設住宅も大雨の被害に遭い、被災者らは片付け作業に追われた。

 石川県によると、輪島市で5団地、珠洲市で4団地の計9団地が床上浸水した。

大雨で冠水した能登半島地震の被災者向けの仮設住宅=石川県珠洲市上戸町で2024年9月21日午前11時ごろ(住民提供)

 珠洲市上戸町の仮設住宅で暮らす中川政幸さん(76)によると、21日朝、近くの川から水があふれて泥水が敷地内に流れ込んできたため、午前8時半過ぎに隣にある体育館に避難を始めた。水は一番深いところで60センチ程度あり、若者がお年寄りをおんぶするなどして移動したという。「バケツをひっくり返したような雨でびっくりした。ようやく生活も落ち着いていたところだったのに、踏んだり蹴ったり。泣きっ面に蜂だ」と嘆いた。

 同じ団地で1人暮らしをしている瀬戸靖子さん(84)は22日、水にぬれて重くなったカーペットタイルをはがす作業をしていた。21日夜は台所で寝たといい、「布団なども泥水をかぶってしまった。それでも若い人が避難を手伝ってくれて皆さんに助けてもらった。感謝しかない」と気丈に話した。

 輪島市山岸町の仮設住宅に住む会社員、横地明雄さん(66)は「幸い床上浸水はしなかったが、66年輪島で生きてきてこんな雨は初めて」と驚いた様子だった。「9月13日に入居してやっと一息ついたばかりだった。こんなひどい目に遭うとは思わなかった。いいかげんにしてほしい」と訴えた。【阿部弘賢、砂押健太】

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