石川県の能登半島北部などを襲った能登豪雨で、県などは22日、珠洲(すず)市と輪島市で各1人が死亡したと明らかにした。このほか地元消防によると、輪島市で1人が心肺停止という情報がある。また、安否不明者が輪島市と珠洲市で計8人に上り、珠洲市と能登町では各1人が川に流されて死亡の疑いがある「行方不明」になっている。能登町で1人が重傷を負った。
気象庁は21日午前10時50分に発表していた大雨特別警報を、ほぼ1日経過した22日午前10時10分に警報に切り替えた。生活物資などの輸送が困難な孤立集落は3市町で計115カ所で、深刻な被害が明らかになりつつある。
県警によると、新たに死亡が確認されたのは、輪島市の塚田川で見つかった高齢の男性という。
県によると、安否不明者は連絡が取れない住民、行方不明者はさらに死亡の疑いもある住民を指す。
県が発表した安否不明者は、珠洲市1人と輪島市7人の計8人。このうち4人は、輪島市久手川(ふてがわ)町の塚田川流域で複数の住宅が流された人で、中学3年生の女子生徒も含まれている。
国土交通省北陸地方整備局も作業員ら4人が安否不明と発表している。21日に国道249号の中屋トンネル付近(輪島市門前町)で能登半島地震の復旧工事をしていたところ、土砂が流出し巻き込まれたという。
ただ、奥能登広域圏事務組合消防本部によると、現場からは複数人を救助し容体を確認している。うち1人が心肺停止の模様とみられる。
また、大雨の影響で22日午前10時前、黒部峡谷鉄道が運行するトロッコ電車の出平(だしだいら)駅と猫又駅の間のトンネル内(富山県黒部市宇奈月町)に土砂が流入した。このため、乗客約50人が乗った電車が出口付近で動かなくなり、従業員の誘導で避難した。けが人はいなかった。
一方、石川県は能登豪雨で輪島と珠洲、七尾、能登、志賀の3市2町で23河川の氾濫を確認した。22日午後4時現在で、県管理の道路48カ所で土砂崩れなどによる通行止めが発生。その影響で生じた115カ所の孤立集落の内訳は、輪島市で99カ所、珠洲市で13カ所、能登町で3カ所だった。
22日午後4時現在の避難者数は、5市町で1088人。能登半島地震の被災者向けの仮設住宅でも輪島市5団地(計549戸)、珠洲市の4団地(計228戸、建設中を含む)で床上浸水が確認された。
総務省消防庁によると、能登豪雨による避難指示は22日午後3時半の時点で石川県の3市2町で5万556世帯11万710人▽山形県5441世帯1万4920人▽福島県676世帯1569人▽新潟県で389世帯826人。
気象庁によると、20日午後6時の降り始めから、22日午後4時までの雨量(アメダスの速報値)は、輪島市輪島498・5ミリ▽珠洲市珠洲394ミリ。いずれも9月の平均降水量の2倍以上を記録した。
能登地方ではこれまでの記録的な大雨で地盤の緩んでいる所があることや増水している河川があることから、金沢地方気象台は「少しの雨でも土砂災害や洪水災害の危険度が高まるおそれがある」と引き続き注意を呼び掛けている。【島袋太輔、森田采花、面川美栄、露木陽介】
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